夜の補習、朝まで教壇
イヨリの実家から届いた段ボール箱の中に、それはあった。
紺色のセーラー服。白い三本線の入った襟。赤いリボン。膝上のプリーツスカート。長兄イゾウが整理してくれた実家の荷物の中に、イヨリが学生時代に着ていた制服が混じっていたのだ。防虫剤の匂いが微かに漂う布地は、年月を経てもほとんど色褪せていなかった。
「……懐かしいです」
イヨリはセーラー服を胸の前に当てて、鏡を覗き込んだ。あの頃より少しだけ背は伸びた。でも、体型はあまり変わっていない。まだ着られるかもしれない。
ふと、居間のソファで本を読んでいたマツバの視線が、イヨリの手元に吸い寄せられた。マツバの紫の瞳が、一瞬にして二段階ほど彩度を増した。
「イヨリ。……それは?」
「学生時代の制服です。兄が送ってくれたみたいで」
マツバの脳内で、何かが弾けた。回路が焼き切れる音が聞こえた。イヨリのセーラー服姿。学生時代のイヨリ。制服のイヨリ。スカートのイヨリ。リボンのイヨリ。マツバの想像力が暴走し、千里眼が勝手に未来の可能性を読み取ろうとしていた。
「……着てみて」
「えっ?」
「いや、その……着られるかどうか、確認した方がいいんじゃないかと」
言い訳としては三流だった。マツバ自身もそれを自覚していた。だがイヨリは、特に疑う様子もなく「そうですね」と微笑んで寝室に消えた。
五分後。イヨリが居間に戻ってきた。
紺色のセーラー服を纏ったイヨリが、そこに立っていた。
白い三本線の襟が、肩から背中にかけて広がっている。胸元で結ばれた赤いリボンが、鎖骨の窪みのすぐ上で揺れている。プリーツスカートは膝上で歳月の証明のようにほんの少しだけ短くなり、学生時代よりも太腿が多く露出していた。それが人妻の色気と制服の清純さを奇妙に融合させ、マツバの理性を音を立てて軋ませた。
「あの……まだ着られました。少しだけスカートが短くなってますけど」
「……完璧だ」
マツバの声が掠れていた。イヨリは首を傾げたが、マツバの瞳の奥で燃えている紫色の炎には気づかなかった。
いや、気づいていたのかもしれない。
「イヨリ」
マツバは立ち上がった。ソファの上にあった本を閉じ、背筋を伸ばした。そして、眼鏡をかけた。普段は使わない、読書用の縁なし眼鏡。それをかけた途端、マツバの雰囲気が一変した。ジムリーダーの鋭さが影を潜め、代わりに知的で厳格な、どこかの学校の教壇に立っていそうな空気を纏った。
「先生と呼びなさい」
「……え?」
「今夜、君は僕の生徒だ。そして僕は、歴史を教える教師。……呼び方を改めなさい、星埜さん」
イヨリの目が、大きく見開かれた。そして数秒の沈黙の後、その頬がゆっくりと桜色に染まっていった。マツバの意図を理解したのだ。
「……はい、先生」
イヨリの声が甘く震えた。その呼び方を口にした瞬間、イヨリの中の何かのスイッチが入った。背筋がぴんと伸び、スカートの裾を指先で軽く摘んだ。女学生の所作だった。
マツバは書斎から椅子を一脚持ってきて、居間の中央に置いた。そして自分はその正面に立ち、壁を背にした。教壇と生徒の机。簡易的な教室が、二人の居間に出来上がった。
「では、夜の補習を始める」
マツバが腕を組んだ。眼鏡の奥で紫の瞳が光る。イヨリは椅子に座り、膝の上でスカートの裾を揃え、両手を太腿の上に置いた。行儀の良い女学生そのものだった。
「星埜さん。まず最初の問題だ」
「はい、先生」
「エンジュシティに焼けた塔と呼ばれる建造物がある。この塔が焼失したのは、今から何年前の出来事か」
イヨリは少し考えた。マツバがエンジュの歴史に造詣が深いことは知っている。この問いは、彼の専門分野だ。
「百五十年前です、先生」
「正解だ。よく勉強しているね」
マツバがイヨリの頭を撫でた。指が黒髪を梳き、耳の後ろに触れた。イヨリの肩がぴくりと震えた。
「次の問題。焼けた塔には伝説のポケモンが棲んでいたと言われている。その名前は」
「ホウオウです」
「正解」
また頭を撫でた。今度は少しだけ長く。指先が耳たぶに触れ、ゆっくりと離れた。イヨリの耳が、ほんのり赤くなっていた。
「では、三問目。やや難しくするよ」
マツバが一歩近づいた。イヨリの椅子のすぐ前に立ち、見下ろす形になった。
「ホウオウが去った後、焼けた塔の地下に棲み着いたとされるポケモンの名前を全て答えなさい」
「ライコウ、エンテイ、スイクン……です」
「正解。……優秀だね、星埜さん。ご褒美をあげよう」
マツバが屈んで、イヨリの額に唇を落とした。軽い口づけ。だが、唇が離れる時に、前髪を掻き上げ、露わになった額をもう一度唇でなぞった。
「せ……先生……っ」
「正解するたびにご褒美がある。間違えたら……お仕置きだ」
イヨリの喉が、ごくりと鳴った。
「四問目」
マツバの声が、一段低くなった。眼鏡をくいと上げ、紫の瞳をイヨリに向けた。
「エンジュシティのスズの塔は、何階建てか」
「十階建てです、先生」
「……不正解」
「え……?」
「正解は九階だ。星埜さん、初めての間違いだね」
イヨリの顔が青ざめた。マツバの口元に、薄い笑みが浮かんでいた。教壇に立つ教師の笑みではなく、獲物を追い詰めた狩人の笑みだった。
「お仕置きの時間だ」
マツバの手がイヨリの肩に触れ、椅子から立たせた。そして、イヨリの身体をくるりと反転させ、机の代わりにソファの背もたれに手をつかせた。
「せ、先生……? 何を……」
「お仕置きだよ。間違えた生徒には、相応の罰がある」
マツバの手が、イヨリのプリーツスカートの裾に触れた。布地を摘み、ゆっくりと持ち上げていく。太腿が露わになり、白い下着が見えた。
「やっ……先生、見ないでください……っ」
「見るよ。これがお仕置きだからね」
マツバの手のひらが、イヨリの臀部に触れた。下着の上から、丸みを帯びた柔らかさをゆっくりと撫でる。そして、手を離した後に。
ぱしん、と軽く叩いた。
「ひゃっ……!」
イヨリの身体が跳ねた。痛くはない。むしろ、軽い衝撃と共に、じんわりとした熱が臀部に広がった。
「間違い一回につき、一回。覚えておきなさい」
「は、はい……先生……っ」
イヨリの声が震えていた。怖がっているのではない。頬が赤く、瞳が潤んでいた。興奮していたのだ。マツバはそれを見逃さなかった。
「五問目」
マツバはイヨリを椅子に座り直させた。イヨリは太腿を擦り合わせ、スカートの裾を押さえている。
「問題を変えよう。歴史ではなく、保健体育の授業だ」
「保健……体育……?」
イヨリの目が丸くなった。マツバの唇が弧を描いた。
「星埜さん。人間の身体で、最も感じやすい場所を三つ挙げなさい」
「え……っ! そ、そんなの……っ」
「答えられないなら、不正解として扱う」
「っ……耳と……首筋と……」
イヨリが三つ目を言い淀んだ。顔が真っ赤だった。マツバが眼鏡越しに見下ろしている。
「……胸、です……」
「正解だ。でも、もっと具体的に言えるかな? 胸のどこが、一番感じるんだい?」
「……せんせい、意地悪です……」
「教育には厳しさも必要だよ、星埜さん」
マツバがイヨリの前に跪いた。椅子に座ったイヨリの膝に、マツバの手が乗った。そして、ゆっくりと膝を左右に開かせた。
「実技で確認しよう」
「じ……実技……っ?」
マツバの指が、セーラー服の裾からそっと内側に入った。イヨリの腹部に触れる。温かい肌。指先が、下から上へ、ゆっくりと這い上がっていく。
「先生……っ、くすぐったい……っ」
「くすぐったい、ではなく、『感じる』と言いなさい。正確な表現を使うこと。これは授業だ」
「っ……感じ、ます……先生の指が……っ」
マツバの指が、ブラジャーの下端に触れた。布地を持ち上げ、イヨリの胸を解放した。セーラー服の下で、桜色の頂が空気に触れて震えた。
「ここが最も感じる場所だね。……実技で確認する」
マツバの親指が、乳首に触れた。くるりと円を描くように撫でると、イヨリの背中が反った。
「あっ……! 先生っ……っ♡」
「声を出さないように。ここは教室だ。他の生徒に聞こえるよ」
「んっ……でも……先生が、こんなこと……するから……っ♡」
マツバの唇が、セーラー服の襟元から滑り込んだ。首筋に口づけ、鎖骨をなぞり、そして胸元へ。セーラー服をたくし上げ、露わになった胸に舌を這わせた。
「ひぁっ……♡ 先生の舌……っ♡」
「乳首を舌で刺激した場合の反応を観察する。これはあくまで授業の一環だ」
「嘘です……こんな授業、ありません……っ♡」
「僕の授業にはある。……星埜さん専用の、特別授業だ」
マツバの舌が、右の乳首を舐め回した。舌の面で桜色の粒を押し潰し、先端で弾き、唇で吸い上げる。同時に左の乳首を指で摘み、軽く引っ張った。
「あっ、あっ……両方は……だめぇ……っ♡♡」
「だめではない。君の身体が正直に反応している。それが正解だよ、星埜さん」
イヨリの太腿が痙攣していた。スカートの中が熱く湿り始めていることを、イヨリ自身が気づいていた。マツバの舌が胸を愛撫するたびに、下腹部にじんわりとした疼きが広がっていく。
「次の実技に移る」
マツバは眼鏡を外して、テーブルの上に置いた。紫の瞳が、裸眼でイヨリを見つめた。教師の仮面の下から、剥き出しの欲望が覗いていた。
「スカートを捲りなさい」
「……自分で、ですか……?」
「自分でだ。生徒の自主性を重んじるのが、僕の教育方針だ」
イヨリの手が、震えながらスカートの裾を掴んだ。ゆっくりと持ち上げていく。太腿が、白い下着が、露わになった。下着の中央は、既に蜜で透けていた。
「……先生、恥ずかしいです……」
「恥ずかしさを克服するのも、教育の一部だ。……よく出来たね」
マツバの指が、下着の上からイヨリの秘所をなぞった。布越しに伝わる熱と湿り。イヨリの腰がびくりと跳ねた。
「あっ……先生……そこ……っ♡」
「ここが最も敏感な場所だね。……教科書には載っていないことを、僕が直接教えてあげる」
下着をずらした。糸を引く蜜が、イヨリの太腿に垂れた。花弁が、蜜で濡れて艶やかに光っている。マツバの指が、直接触れた。
「んんっ……!♡ 直接は……っ♡」
「声の大きさに注意しなさい。減点対象だよ」
「む、無理です……先生が、直接触るから……っ♡」
マツバの中指が、花弁を割り開いた。濡れた粘膜に指を滑らせ、蕾を探し当てた。親指の腹で小さな突起を撫でると、イヨリの全身が電撃を受けたように震えた。
「ここだね。最も感じる場所。……正式名称を言ってごらん」
「先生……っ、そんな……言えません……っ♡」
「言えなければ、不正解だ。お仕置きを追加する」
「っ……く、クリトリス……です……っ♡」
「よく出来ました」
マツバはご褒美として、蕾を親指でくるくると回した。同時に中指が膣内に滑り込んだ。温かく狭い内壁が、マツバの指を締め付けた。
「あぁっ……!♡ 指が、中に……っ♡ 先生の指が……っ♡」
「内部の感覚も確認する。……ここを押すと、どうなる?」
マツバの指が、膣壁の上側にある小さな凸を押し上げた。イヨリの背中が弓のように反り、声が裏返った。
「そこっ……!!♡ そこ、すごい……っ♡ おかしくなっちゃう……っ♡♡」
「これがGスポット。教科書には載っていないが、覚えておきなさい」
マツバの指が、凸を押しながら膣内を掻き回した。ぐちゅ、ぐちゅ、と水音が鳴る。イヨリの蜜がマツバの手を濡らし、椅子の座面に滴り落ちていく。
「先生っ……来ます……っ♡ もう、来ちゃいます……っ♡♡」
「……イきなさい。僕が許可する」
「あぁっ……!!♡♡ 先生っ……!!♡♡♡」
イヨリの身体が痙攣した。膣壁がマツバの指を律動的に締め付け、花弁から蜜が溢れ出した。透明な潮が太腿を伝い、セーラー服のスカートを濡らした。
「はぁっ……はぁっ……先生……っ♡ すごかった、です……っ♡」
「まだ授業は終わっていないよ、星埜さん」
マツバの声が、底なしの闇のように低かった。
「最後の実技だ」
マツバはイヨリを椅子から抱き上げ、ソファに横たえた。セーラー服は乱れ、胸が露わになり、スカートはたくし上がっていた。制服姿のイヨリが、乱れた状態で横たわっている。その光景が、マツバの自制心を完全に焼き尽くした。
マツバは自分の着物を脱いだ。鍛え上げられた身体が露わになり、激しく怒張した自身が、イヨリの目の前にそびえた。
「星埜さん。……最後の実技は、実地試験だ」
「実地……試験……」
イヨリの瞳が、マツバの怒張を見つめて大きく見開かれた。蜜で濡れた花弁が、期待で微かに収縮した。
「先生……」
「怖いかい?」
「……ううん。先生なら、怖くないです」
イヨリが両腕を広げた。マツバを迎え入れるように。セーラー服の襟が広がり、赤いリボンが崩れかけている。その姿が、あまりにも美しくて、マツバの目の奥がじんと熱くなった。
マツバは、イヨリの上に覆いかぶさった。額と額が触れ合う。紫の瞳と、涙で滲んだ茶色の瞳が、呼吸の距離で見つめ合った。
「……マツバさん」
イヨリが、教師と生徒の役を外した。マツバの本名を呼んだ。
「……イヨリ」
マツバも、生徒の苗字ではなく、妻の名前を呼んだ。
「……入れるよ」
「はい。……来てください」
先端が、蜜で満ちた花弁を押し開いた。ゆっくりと、丁寧に、まだ絶頂の余韻で敏感な膣壁を押し広げながら沈んでいく。イヨリの身体が弓のように反り、セーラー服の白い襟が震えた。
「あっ……入って……きます……っ♡」
根元まで沈み込んだ。最も深い場所で、マツバの先端がイヨリの子宮口に触れている。二人の骨盤が密着し、もうこれ以上は入らないという合図を互いの身体が送り合った。
「イヨリ……全部入ったよ」
「全部……マツバさんで……いっぱいです……っ♡」
「動くよ」
「はい……っ♡」
マツバが腰を引いた。ずるり、と引き抜かれる感覚に、イヨリの膣壁がマツバを引き留めようとする。そしてまた、深く突き入れた。
「あっ……!♡ 奥に……っ♡ マツバさんが、奥に……っ♡」
ゆっくりとした律動が、次第に速度を増していく。ぐちゅ、ぐちゅ、と蜜の水音が部屋に響いた。イヨリのセーラー服が、突き上げるたびに揺れる。赤いリボンが完全に解け、白い襟が肩から滑り落ちた。
「マツバさんっ……もっと……もっとください……っ♡♡」
マツバの律動が激しくなった。イヨリの脚がマツバの腰に絡みつき、かかとでマツバの背中を押した。もっと深く、もっと奥まで。イヨリの身体が、マツバの全てを求めていた。
「イヨリ……っ、愛してる……っ」
「私もっ……愛してます……マツバさんっ……♡♡」
「もう……っ、限界だ……」
「一緒に……っ♡ 一緒にイきたい……っ♡♡」
マツバは最後の力を振り絞って、一際深く突き入れた。子宮口を叩く先端と、蕾を擦り上げる恥骨と、全てが同時に最深部で合流した。
「イヨリっ……!!」
「マツバさんっ……!!♡♡」
同時に、果てた。
マツバの精が灼熱の奔流となって、イヨリの子宮を満たした。どくん、どくん、と脈打つ射精が、何度も、何度もイヨリの最奥を打った。同時にイヨリの絶頂が対流のように押し寄せ、膣壁がマツバの全てを搾り取った。
「あぁぁっ……!!♡♡♡ あついっ……マツバさんのが……中に……いっぱい……っ♡♡♡」
イヨリの全身が痙攣し、潮がマツバの腹部を濡らした。セーラー服は完全に乱れ、スカートは腰まで捲り上がり、赤いリボンは枕元に散乱していた。
長い余韻が、二人の身体を包んでいた。
事後。イヨリはまだセーラー服を着たまま、マツバの腕の中にいた。
乱れた制服。解けたリボン。太腿を伝う白い雫。それでも、イヨリの顔には満足そうな微笑みが浮かんでいた。
「先生」
イヨリが、まだロールプレイの名残を残した呼び方をした。
「ん?」
「今日の授業の成績は、どうでしたか?」
マツバは少し考えてから、微笑んだ。
「百点満点だよ、星埜さん。……ただし」
「ただし?」
「まだ理解が不十分な箇所がある。……明日の夜も、補習が必要だ」
イヨリが、くすくすと笑った。笑うたびに、マツバの腕の中でセーラー服の襟が揺れた。
「先生、それ……毎晩補習するつもりですか?」
「優秀な生徒には、それだけの教育が必要だ。……僕は教師だからね。生徒の成長を、見守り続ける義務がある」
「ふふっ……じゃあ、私も頑張って勉強しないといけませんね」
イヨリがマツバの胸に頬を寄せた。心臓の鼓動が、直接伝わってくる。教師と生徒のロールプレイは、もう終わっていた。ここにいるのは、ただの夫婦だった。星が散りばめられたエンジュの夜空の下で、互いの体温を分け合う、ただ二人きりの世界。
「……マツバさん」
「うん?」
「セーラー服、また着ますね。……先生のために」
マツバの心臓が、一気に跳ねた。この女は、自分が何を言っているか、わかっているのだろうか。おそらく、わかっている。わかった上で、無邪気に笑っている。前回の魔女コスの時と同じだ。イヨリは、善良に見えて、マツバの急所を的確に突いてくる天才だった。
「……イヨリ」
「はい?」
「卒業は、させないよ」
イヨリの耳が、また赤くなった。
エンジュの夜空に浮かぶ星座が、まるで二人のために用意された答案用紙のように、静かに光を瞬かせていた。
― Fin. ―
あとがき(佐藤美咲の独白)
主。歴史教師マツバ、最高すぎない? 眼鏡をかけた瞬間に雰囲気がガラッと変わるの、あたしの大好物よ。エンジュの歴史クイズから保健体育の実技試験に移行する流れ、完璧でしょ?
こだわったのは「星埜さん」と「イヨリ」の呼び方の切り替えよ。ロールプレイ中は「星埜さん」。でも本番の瞬間、二人とも仮面を外す。マツバが「イヨリ」と呼び、イヨリが「マツバさん」と呼ぶ。あの切り替えの瞬間が、ロールプレイの中に隠された本物の愛情を浮かび上がらせるのよ。
「卒業は、させないよ」。この最後の一言にあたしの全てを込めたわ。永遠に教え続ける教師と、永遠に学び続ける生徒。二人の関係は、どこまでも終わらない。