陽だまりの膝枕、蜜の囁き
休日の午後。エンジュシティの空は高く晴れ渡り、マツバ邸の縁側には柔らかな陽光が降り注いでいた。
「マツバさん、動かないでくださいね」
「ん……わかってるよ」
マツバは畳の上に寝転がり、イヨリの膝に頭を預けていた。いわゆる膝枕である。イヨリは竹製の耳かきを手に、真剣な表情でマツバの耳を覗き込んでいる。
「……くすぐったいな」
「我慢してください。……あ、ありました」
カリッ、コソッ……。心地よい音が鼓膜を揺らす。マツバは目を細め、視線を上へと向けた。
そこには、逆光を浴びて輝くイヨリの姿があった。前髪を耳にかけ、俯き加減で作業に没頭する彼女の顔。縁なし眼鏡の奥の瞳は、まるで精密な手術を行う外科医のように鋭く、しかし慈愛に満ちている。
そして、その視線の先にあるもの。
(……この角度は、反則だな)
マツバの頭を受け止めている太腿の柔らかさ。そして、俯くことで重力に従い、たわわに実った豊かな双丘のライン。白いブラウス越しでもわかるその柔らかさと質量が、マツバの視界を甘く占領していた。
「イヨリ」
「はい? ……動くと危ないですよ」
「君は、本当にいい匂いがするね」
「……っ! い、いきなり何ですか……?」
急な言葉に、イヨリの手が止まる。頬がほんのりと朱に染まるのが、下から見上げているとよくわかった。
「ここから見上げる君が、あまりにも可愛くてね。……つい」
マツバの手が、無防備に置かれたイヨリの手に伸びた。耳かきを持つ彼女の細い指に、自身の指を絡める。
「ま、マツバさん……耳掃除、まだ終わってません……」
「もう十分だよ。……それより、もっと別のことがしたくなった」
マツバの声色が、甘く低く変化する。イヨリはその変化に敏感に反応し、とくん、と心臓を跳ねさせた。
「べ、別のことって……」
「こうするんだよ」
マツバは不意に身を起こすと、イヨリの手首を掴み、そのまま彼女を畳の上へと押し倒した。
「きゃっ……!?」
世界が反転する。先ほどまで見下ろしていたマツバの顔が、今はすぐ目の前で自分を見下ろしている。
「さっきまで、僕の耳をいじめてくれたお返しだ」
「い、いじめてなんて……わたしは、きれいに……」
「ふふ。……今度は僕が、君の耳をいじめてあげる」
マツバはニヤリと笑うと、イヨリの敏感な耳朶に唇を寄せた。
「んっ……!?」
ちゅっ、とはむ……。濡れた舌先が、耳の形をなぞるように這う。イヨリの背筋に、痺れるような電流が走った。
「あ……っ、だめ、耳……よわいのに……っ♡」
「知ってるよ。……ここ、こんなに赤くなってる」
マツバは彼女の反応を楽しむように、耳の穴の入り口に舌先を差し込んだ。ジュルッ、という粘着質な水音が、鼓膜に直接響く。
「ひゃうっ……!! マツバさん、音、すごい……っ♡」
「どっちが気持ちいい? さっきの耳かきと、僕の舌」
「えら、えらべません……っ! でも、これは、なんだか……熱くて……っ♡」
イヨリはマツバのシャツをギュッと握りしめ、身をよじった。膝枕の穏やかな空気は霧散し、すでに濃厚な情事の気配が部屋を満たしている。
「可愛いな、イヨリ。……もっと、君の声を聞かせて」
マツバの手が、イヨリのブラウスのボタンに伸びた。慣れた手つきで次々と外し、中の素肌を露わにする。午後の光に照らされた白い肌は、興奮で桜色に染まっていた。
「明るい……です。恥ずかしい……」
「明るいからいいんだよ。君のすべてが、はっきりと見える」
マツバはイヨリの胸に顔を埋めた。さっきまで膝枕で見上げていた極上の景色を、今は舌と唇で直接味わっている。
「んぁっ……♡ マツバさんの髪、くすぐったい……っ♡」
「……君の心臓、すごく速いね」
胸に耳を押し当て、鼓動を聞く。ドクン、ドクン、と早鐘を打つ音。それは、彼女が自分を求めている何よりの証拠だ。
「だって……マツバさんが、こんなにいじめるから……」
「いじめてないよ。愛してるだけだ」
マツバは身体を起こし、イヨリのスカートに手をかけた。抵抗することなく、するりと布地が滑り落ちる。
「……また、濡れてる」
下着越しに触れた秘所は、すでに愛液で湿っていた。マツバはその事実が嬉しくてたまらないといった風に、目を細めた。
「膝枕してる時から……本当は、こうしたかったんじゃない?」
「そ、そんなこと……! ……ちょっとだけ、ドキドキ、してましたけど……」
「素直でよろしい」
マツバは優しくキスを落とし、最後の一枚を取り去った。露わになった秘所からは、甘い蜜の香りが立ち上る。
「……入れるよ」
「はい……マツバさん……♡」
イヨリは脚をM字に開き、愛する夫を受け入れた。マツバの剛直な熱が、濡れた窄まりを押し広げ、深淵へと侵入していく。
「あぁっ……! おっきい……っ! 日中から、こんな……っ♡」
「関係ないよ。……君と愛し合うのに、時間は関係ない」
ズプッ、ズプッ……。腰を動かすたびに、濡れた水音が部屋に響く。外からは小鳥のさえずりが聞こえるのどかな午後。その静寂を、二人の淫らな音が塗り替えていく。
「はぁっ、んっ、奥……っ! そこ、いいです……っ♡」
「イヨリ、こっちを見て」
マツバはイヨリの手を恋人繋ぎにし、真正面から見つめ合った。瞳に映るお互いの顔。汗ばんだ額、荒い息遣い。
「さっきの膝枕も良かったけど……やっぱり、こうして繋がってる時が一番幸せだ」
「わたしも……ですっ! マツバさんと、ひとつになってる時が……っ♡」
「……っ、締め付けがすごいな……。そんなに嬉しいの?」
「うれしい、です……っ! 大好き、マツバさん……っ!」
イヨリは快感に涙を浮かべながら、懸命にマツバに応えた。その健気で淫らな姿に、マツバのラストスパートがかかる。
「いくよ、イヨリ……! 僕の愛を、全部……!」
「んぁっ、きてっ! マツバさんの、いっぱいくださいっ……! あぁっ、あぁぁぁっ……♡」
激しいピストンの末、マツバはイヨリの最奥に深く突き刺さり、熱い楔から白濁した命の素を解き放った。
「っ、うあぁぁぁぁっ……!!」
「んんんっ……!! あついっ、なか、あついのいっぱい……っ♡」
ドクドクと脈打つ放出感。イヨリの子宮が、注がれたものを逃すまいと収縮し、マツバを締め付ける。
長い余韻の後、マツバはゆっくりとイヨリの上に覆いかぶさった。
「……ふぅ。……ごめん、我慢できなくて」
「ううん……。マツバさんに愛されて、幸せです……」
イヨリは汗ばんだマツバの頬を撫で、蕩けた笑顔を見せた。
「でも……耳掃除、途中ですよ?」
悪戯っぽく微笑む彼女に、マツバは苦笑して答えた。
「……また後で、頼むよ。今は、もう少しこうしていたい」
「はい。……ふふ、甘えん坊ですね、旦那様」
陽だまりの中、二人は再び唇を重ね、穏やかな午後のまどろみへと落ちていった。
― Fin. ―
あとがき(佐藤美咲の独白)
あはははは!!! 「膝枕耳かき」からの情事転換!!! これぞ日曜日の昼下がりのロマンよ!!!
縁側で膝枕って、すごく日本的でマツバに似合うと思わない!? そして下からのアングル!!! 男なら一度は夢見る「太腿越しの巨乳」という絶景!!! マツバがそれを見てムラムラしちゃうのは、もう自然の摂理よね!!!
イヨリちゃんの「耳掃除途中ですよ?」っていう最後のセリフ、あれは確信犯よ! マツバに「また膝枕して」って言わせるための高度な誘導尋問!!! ああ、この夫婦、本当にどこまでもバカップルなんだから!!! 日中の明るい光の中で、汗と愛液にまみれる背徳感……主にもたっぷり味わってもらえたかしら!? 次回も、あたしの妄想の最前線へ連れて行ってあげるわよ!!!