華より紅く咲き乱れ
その紙袋を、イヨリは三十分も前から抱えていた。
エンジュシティの商店街の外れにある、小さなランジェリーショップ。「月花」という名の店だった。古都の街並みに溶け込むような、控えめな外観。しかし一歩中に入ると、レースと絹と甘い香りに包まれた、女の秘密の花園が広がっている。イヨリは普段、ここには来ない。下着はいつも、駅前のショッピングセンターの量販店で買っていた。淡いピンク。薄い水色。クリーム色。レースは少なめで、ワイヤーのしっかりした、実用的なもの。ポケモンドクターとして診療所に立つ日は特に、動きやすさが第一だった。Fカップの胸を華奢な身体で支えるには、ホールド力が何より大切で、色気など二の次だった。
なのに今日、イヨリはこの店にいた。
きっかけは些細なことだった。先週、診療所の同僚であるナツメグが、昼休みにこう言ったのだ。「イヨリちゃん、結婚したんだから、たまには勝負下着くらい買いなよ」。勝負下着。その言葉が、ずっと頭の中で回っていた。結婚して一ヶ月が経った。マツバはいつも優しい。いつも「綺麗だ」と言ってくれる。淡いピンクのブラを外す時も、クリーム色のショーツを脱がす時も、必ず「好きだよ」と囁いてくれる。
でも。
イヨリは思ったのだ。マツバを、驚かせたい。いつもと違う自分を見せたい。あの紫の瞳を、もっと熱くしたい。
だから、この店に来た。
店員の女性が、にこやかに声をかけてきた。「何かお探しですか?」。イヨリは頬を赤らめながら、小さな声で答えた。「あの……勝負下着を……」。声が裏返りそうだった。ポケモンの診察ではどんな難症例にも冷静でいられるのに、ランジェリーショップでは心臓が口から飛び出しそうになる。
「サイズはお分かりですか?」
「F65です……」
「F65ですね。華奢なお体にFカップ、素敵ですね。ブランドによっては取り扱いが限られますが、こちらにいくつかございますよ」
店員に案内されたコーナーには、イヨリが普段見ないような下着が並んでいた。黒いレースのブラレット。紫のサテンのビスチェ。そして、深紅のランジェリーセット。
イヨリの目が、深紅に吸い寄せられた。
それは、薔薇の花弁を一枚一枚重ねたような、繊細なレースで編まれたブラジャーだった。フルカップではなく、ハーフカップ。胸の上半分が露出するデザインで、乳房を下から掬い上げるように支えている。普段のイヨリなら絶対に選ばない。布面積が少なすぎる。こんなもので、Fカップの胸を支えられるのか。しかし、レースの隙間から肌が透けて見える計算された作りと、深紅という情熱的な色が、イヨリの心を掴んで離さなかった。
セットのショーツも同じ深紅だった。サイドがリボンで結ばれていて、引けば解けるデザイン。前面は薔薇のレースで覆われているが、生地は極めて薄く、ほとんど透けている。背面はTバックに近い形で、ヒップラインをほぼ覆い隠さない。
イヨリは、顔から火が出そうだった。
「試着されますか?」
「……はい」
試着室で、イヨリは深紅のランジェリーを身に着けた。鏡に映る自分の姿に、息を呑んだ。
知らない女がいた。いつもの控えめなイヨリではなかった。深紅のハーフカップブラが、Fカップの胸を下から押し上げて、大胆な谷間を作り出している。繊細なレースの隙間から、白い肌と薄桃色の乳輪の上端が、きわどく覗いている。ウエストは細く、腰骨の上を深紅のリボンが横切っている。透けるレースのショーツから、下腹部の輪郭がほのかに見えた。
イヨリの全身が、熱くなった。恥ずかしさと、それとは別の、もっと甘い感情。マツバにこの姿を見せたら、どんな顔をするだろう。あの紫の瞳が、どれだけ揺れるだろう。
「これ、ください」
イヨリは、人生で初めての勝負下着を買った。
古民家の寝室で、イヨリは鏡の前に立っていた。
マツバの帰宅時間まで、あと三十分。夕方の柔らかい光が、障子越しに差し込んでいる。エンジュの秋の空気が、開け放った縁側から微かに流れ込んでいた。遠くに焼けた塔のシルエットが、茜色の空に溶けている。
イヨリは、深紅のランジェリーを身に着けていた。
店で試着した時よりも、ずっとドキドキしていた。あの時は「見せる相手」がいなかった。今は、もうすぐマツバが帰ってくる。この姿を見られるのだ。見せるのだ。自分から。
鏡の中の自分を見た。深紅のレースに包まれた白い身体。ハーフカップのブラから零れそうなFカップの乳房。乳首は辛うじて隠れているが、レースの透け感が、あると分かっていても目を奪う。ウエストのくびれから、骨盤のリボンへと続くライン。透けるショーツの向こうに、薄く手入れされた茂みが影を落としている。
「……えっち」
自分で自分に呟いた。顔が真っ赤だった。ポケモンドクターとして、解剖学的に身体の構造は熟知している。しかし、この深紅のレースに包まれた自分の身体は、学術的な知識をすべて吹き飛ばすほどに生々しかった。
イヨリは深紅のランジェリーの上から、薄手の白いワンピースを羽織った。膝丈の、シンプルなもの。胸元がやや開いているデザインで、深紅のブラのストラップがほんの僅かに覗く。気づかれるか、気づかれないか。その微妙なラインを狙った。
和室に移動して、夕食の準備を始めた。手が震えていた。にんじんを切る包丁が少し危なっかしい。マツバの好きな肉じゃがを作ろうとしているのに、集中できない。深紅のレースが肌に触れるたびに、普段の下着とは違う感触が意識を引っ張る。ハーフカップの縁が、乳房の膨らみの上で微かに擦れる。リボンが腰骨の上でちくちくと主張する。身体中が、「今日は特別な夜だ」と囁いている。
鈴の塔の方角から、カラスの鳴き声が聞こえた。夕焼けが深まっている。
玄関の引き戸が、がらりと開いた。
「ただいま」
マツバの声。イヨリの心臓が、跳ね上がった。
「お、おかえりなさい」
声が上ずった。自分でも分かった。マツバが草履を脱いで上がってくる足音が、古い廊下をミシミシと鳴らしている。いつもの足音。いつもの帰宅。なのに、今日だけは全部が違って聞こえる。
マツバが台所を覗いた。紫の瞳がイヨリを捉えた。
「何作ってるの?」
「に、肉じゃが」
「いい匂い。……イヨリ、どうした? 顔赤いよ」
「赤くないよっ」
「赤いよ。耳まで」
マツバが近づいてきた。イヨリの顔を覗き込むように。その時、マツバの視線が、ほんの一瞬だけ下に動いた。ワンピースの胸元から覗く、深紅のストラップ。いつもの淡いピンクでも、クリーム色でもない。鮮やかな、紅。
マツバの紫の瞳が、僅かに見開かれた。
「……イヨリ」
「な、何?」
「今日の下着、いつもと違う?」
イヨリの全身が、かあっと熱くなった。気づかれた。いや、気づいてほしかった。でも、こんなにすぐに見抜かれると思わなかった。
「……気づいた?」
「赤い紐が見えてる。いつものイヨリは、そんな色着けない」
イヨリは、にんじんを切る手を止めた。包丁をまな板に置いた。深呼吸を一つ。心臓がうるさい。でも、ここで逃げたら意味がない。勇気を出してランジェリーショップに行った意味が、なくなってしまう。
「……見る?」
イヨリが、マツバの目を見上げて言った。真っ赤な顔で。でも、まっすぐに。
マツバの喉が、こくりと動いた。
「見たい」
寝室に移動した。障子を閉めた。夕暮れの茜色が障子紙を透かして、部屋全体を淡い紅に染めていた。まるで、イヨリの下着の色に部屋が合わせたかのように。
マツバは、布団の上に腰を下ろした。イヨリは、マツバの前に立った。二歩の距離。
「……笑わないでね」
「笑わないよ」
「変じゃないかな……私に、こういうの似合わないかもしれないし……」
「イヨリ。見せて」
マツバの声は、穏やかだったが、微かに掠れていた。期待を押し殺しているのが分かった。
イヨリは、ワンピースの裾を掴んだ。両手で。ゆっくりと持ち上げた。太腿が露わになる。膝上。太腿の途中。深紅のショーツのリボンが腰骨の上に覗く。お腹。ウエストのくびれ。そして、深紅のブラの下端。イヨリはそのまま、ワンピースを頭からすぽんと脱いだ。
マツバの息が、止まった。
深紅のランジェリーに包まれたイヨリが、目の前に立っていた。
ハーフカップの深紅のレースが、Fカップの乳房を下から掬い上げている。白い肌と深紅のコントラストが鮮烈で、いつもの控えめなイヨリとはまるで別人だった。胸の膨らみが、カップの縁から溢れそうに盛り上がっている。華奢な肩から伸びる細い紐が、重たい乳房を懸命に支えていて、その健気さがかえって色っぽかった。レースの隙間から、白い肌と薄桃色の乳輪の境界が覗いている。
ウエストは驚くほど細くて、そこから下、骨盤の上を深紅のリボンが横切っている。透けるレースのショーツから、下腹部の柔らかなラインが暈けて見えた。Tバックに近い背面のデザインのせいで、臀部の丸みがほとんど露出している。
マツバは、しばらく何も言えなかった。
紫の瞳が大きく見開かれていて、唇が微かに開いていた。息をすることすら忘れているように見えた。
「……変、かな」
イヨリが、不安そうに呟いた。沈黙が怖かった。両手を胸の前で組んで、身を縮こませた。その動作が、ハーフカップから溢れかけている乳房をさらに押し上げて、谷間がぎゅっと深くなった。
「変じゃない」
マツバの声が、低く震えていた。
「変じゃない。……綺麗すぎて、頭が壊れそうだ」
「……ほんとに?」
「見て」
マツバがイヨリの手を取って、自分の胸に当てた。心臓が、狂ったように打っていた。どくどくどくどくと。鳥肌が立つほどの鼓動。
「これが答えだよ。イヨリのせいで、僕の心臓がおかしくなってる」
イヨリの目が、じわりと潤んだ。嬉しくて。勇気を出してよかった。恥ずかしかったけど、この反応が見たかった。マツバの心臓を乱したかった。
「……マツバさんに見せたくて、買ったの。今日、ランジェリーショップに行って……すっごく恥ずかしかったけど……マツバさんの顔が見たくて……」
「こっちに来て」
マツバがイヨリの手を引いた。イヨリがマツバの前に座った。正座で、向かい合って。マツバの手が、イヨリの肩に触れた。深紅のストラップを指でなぞった。鎖骨から、肩の丸みを越えて、背中へ。
「いつもは淡い色の、控えめな下着をつけてるイヨリが」
「うん……」
「こんな紅い下着を、僕のために買ってきてくれた」
「……うん……♡」
「それだけで、もう限界だよ」
マツバの唇が、イヨリの首筋に落ちた。鎖骨の窪みにキスをして、首の横を唇でなぞった。耳の下に舌先が触れた。イヨリの肩がびくりと跳ねた。
「ん……♡」
マツバの手が、ハーフカップのブラの縁に指を添えた。レースの縁が、乳房の膨らみの上を横切っている。その境界線を、指の腹でゆっくりとなぞった。深紅のレースと白い肌の境目。
「この下着、すごい。イヨリの胸が、いつもより大きく見える」
「ハーフカップだから……下から持ち上げてるの……♡」
「持ち上げなくても大きいのに」
「もう……マツバさん……♡♡」
マツバの指が、ブラの上から乳房を包んだ。手のひらに収まりきらない。Fカップの膨らみが、マツバの指の間から溢れ出した。深紅のレース越しに感じる柔らかさと体温。マツバの親指が、レースの隙間を見つけて、肌に直接触れた。
「あっ……♡ 直接はまだ……♡」
「まだ? じゃあ、いつならいい?」
「も、もうちょっと見ててほしい……せっかく買ったんだから……♡♡」
マツバが、ふっと笑った。穏やかで、でも熱い笑み。
「分かった。じゃあ、この上からたっぷり味わう」
マツバの唇が、ハーフカップの縁に沿って降りていった。レースの上から、乳房にキスを落とした。谷間に唇を滑り込ませて、左右の膨らみを交互に唇で撫でた。深紅のレース越しに、乳首の位置を探り当てた。まだ完全には硬くなっていない突起を、布地の上から唇で吸った。
「ひゃぁっ……♡♡ レースの上からでも分かるの……♡♡」
「分かるよ。ここが硬くなってきてる」
マツバの舌が、レース越しに乳首を転がした。繊細な編み目が肌に食い込んで、布と舌の二重の刺激がイヨリの背筋を駆け上がった。深紅のレースに唾液が染みて、生地が肌に貼りついた。薄桃色の乳首の色が、濡れたレースの隙間から透けて見えた。
「マツバさん……♡♡ もう……外して……やっぱり外して……♡♡♡」
「さっき、まだって言ったのに」
「気が変わったの……♡♡ マツバさんに直接触ってほしい……♡♡」
マツバの手が、イヨリの背中に回った。ブラのホックに指をかけた。二つのホックを、するりと外した。深紅のブラが、支えを失って前にずり落ちた。
Fカップの乳房が、解放された。
華奢な身体に不釣り合いなほど豊かな果実が、重力に従って柔らかく揺れた。形は良くて、下に垂れることなく前方に張り出している。薄桃色の乳首が、マツバの愛撫で既に硬く尖っていた。乳輪はやや大きめで、色は薄い。色素の薄い肌が、夕暮れの茜色に染まっていた。
マツバが、深く息を吐いた。
「……やっぱり、イヨリの胸は反則だ」
「反則って……♡♡」
「こんな身体を隠してる。普段は控えめなブラで押さえつけて、白衣の下に仕舞い込んで。それが今日は、紅い下着で飾り立てて、僕の前に差し出してくれた」
マツバの両手が乳房を包んだ。素肌の感触が、直に手のひらに伝わった。体温と柔らかさ。指を沈めると抵抗なく受け入れて、離すと元に戻る。何度も何度も。マツバの指が、その弾力を確かめるように揉んだ。
「あっ……♡♡ マツバさんの手……おっきい……♡♡ 全部包んでくれる……♡♡」
マツバの口が、右の乳首に吸い付いた。舌先で弾いて、歯で軽く噛んで、唇で包んで深く吸った。左の乳首は指で摘んで、くるくると転がした。
「ひぁっ……♡♡♡ 両方っ……♡♡ 両方いっぺんにダメぇ……♡♡♡」
イヨリの身体が、マツバの腕の中で震えていた。胸だけで頭がぼうっとする。ポケモンドクターとしての冷静な思考が、全部溶けていく。マツバの舌が乳首を吸い上げるたびに、下腹部がじわりと熱くなって、もう深紅のショーツが湿り始めていた。
マツバの唇が、乳房から下に降りた。胸の下の柔らかい曲線を舌で辿り、お腹に唇を這わせた。臍の脇にキスを落とし、腰骨の上に達した。深紅のリボンに歯を引っ掛けた。
「このリボン……引いたら解ける?」
「……うん♡」
「解いていい?」
「……マツバさんに解いてほしくて、選んだの……♡♡」
マツバの目が、一瞬だけ獣のように光った。右側のリボンの端を歯で咥えて、するりと引いた。結び目が解けて、深紅のショーツの右側が、はらりと落ちた。左側のリボンも同じように解くと、あの透けるレースの布が、支えを失ってイヨリの太腿の間に落ちた。
イヨリの全身が露わになった。
深紅のブラは既に外されていて、下着はもう何もない。華奢な肩、溢れる乳房、細いウエスト、丸い臀部。そして、薄く手入れされた茂みの下から、蜜に濡れた花弁が僅かに覗いていた。
「……イヨリ。下着の色より、ここの方が紅い」
「やっ……♡♡ そんなとこ見ないでっ♡♡♡」
「見るよ。今日のイヨリは、全部見たい」
マツバがイヨリを布団の上に横たえた。イヨリの太腿をゆっくりと開いた。蜜に濡れた花弁が、ぷっくりと腫れて紅く色づいていた。小さな蕾が、レースの刺激と興奮とで、ぷるぷると震えている。
マツバの唇が、太腿の内側に降りていった。膝の裏にキスをして、内腿をゆっくりと唇で辿った。肌が薄い場所ほど敏感で、イヨリの脚がぴくぴくと跳ねた。太腿の付け根。鼠蹊部。花弁のすぐ横を、わざと避けるように唇が通過した。
「マツバさん……♡♡ じらさないで……♡♡♡」
「じらしてるんじゃないよ。全部に唇を触れさせたいだけ。華を咲かせる前に、蕾を丁寧にほぐさないと」
マツバの舌が、ようやく花弁に触れた。
「ひぁぁっ……!♡♡♡♡」
イヨリの腰が大きく跳ねた。マツバの舌が、花弁を上から下までゆっくりと舐め上げた。溢れ出した蜜を舌先で掬って、味わうように。花弁の襞を一枚一枚、丁寧に舌で開いていった。
「甘い。イヨリの味がする」
「恥ずかしいよぉ……♡♡ そういうこと言わないで……♡♡♡」
マツバの舌が蕾を見つけた。小さな突起を舌先でくるりと回した。イヨリの全身が、電撃を受けたように跳ねた。
「あっ……!♡♡♡ そこっ……♡♡♡ ダメっ……♡♡♡♡」
「ダメじゃないでしょ。ここが一番好きなの知ってる」
マツバの舌が、蕾を吸い上げた。同時に中指が花弁を割って中に入り込んだ。膣壁が指を締め付けて、蜜がくちゅりと音を立てた。中を探りながら、蕾を舌で弾き続けた。
「あっ、あっ、あっ……♡♡♡♡ マツバさんっ……♡♡ 咲いちゃうっ……♡♡♡♡」
「咲いて。僕の前で」
マツバの指が加速した。膣内の前壁を指の腹でくいくいと押し上げながら、蕾を舌先で高速に弾いた。イヨリの太腿がマツバの頭を挟み込んで、腰がガクガクと震えた。
「咲くっ……♡♡♡♡♡ マツバさんっ……♡♡ 咲いちゃうっ……咲くっ……!♡♡♡♡♡♡」
最初の花が咲いた。イヨリの全身がびくんと弓なりに反って、膣壁がマツバの指をぎゅうっと締め上げた。蜜が溢れて、マツバの唇と顎を濡らした。声が裏返って、ぷつんと途切れて、全身の力が抜けた。深く、深く、身体の芯から咲いた。
マツバが顔を上げた。唇が蜜で光っていた。
「……一輪目」
「いち……りん……め……?♡♡」
「華より紅く咲き乱れるんでしょ。一輪じゃ、まだ足りない」
イヨリの目が、大きく見開かれた。マツバの紫の瞳が、穏やかだけれど底知れない熱を宿していた。
マツバがシャツとズボンを脱いだ。引き締まった身体が露わになった。怒張が、既に限界まで張り詰めていた。
イヨリの指先が、それに触れた。
「……すごく硬い……♡ マツバさんも、我慢してたの……?」
「イヨリが紅い下着で立ってた瞬間からずっと」
「……♡♡ ごめんね。じらしちゃって」
「じらしたのはイヨリだから、責任取ってもらうよ」
マツバがイヨリを布団の上に押し倒した。障子越しの茜色が、二人の裸体を紅く染めていた。深紅のランジェリーは布団の脇に散らばっている。ブラが一つ、ショーツが解かれたリボンごと。その色と、イヨリの頬の紅と、障子を透かす夕焼けの紅が、寝室を華の園に変えていた。
マツバがイヨリの太腿を開いた。さっきの絶頂の余韻でまだぴくぴくと震えている花弁に、先端を当てた。
「入れるよ」
「来て……♡ マツバさんで、もっと咲かせて……♡♡」
ゆっくりと押し入った。蜜でとろとろに濡れた膣壁が、マツバを迎え入れた。さっき指と舌で解された内壁が、敏感になったまま、硬く太い熱を呑み込んでいく。ぬるりと音がして、結合部から蜜が溢れた。
「あぁっ……♡♡♡ 入ってくるっ……♡♡ マツバさんが奥まで……♡♡♡」
「きつい……。さっきイったばかりだから、中がすごく敏感だ……」
「だって……マツバさんが……大きいんだもん……♡♡ 身体が全部覚えてるの……♡♡」
最奥まで達した。子宮口にこつんと先端が当たって、イヨリの全身が大きく震えた。繋がった。マツバの全てがイヨリの中に在る。
「マツバさん……♡♡ 動いて……♡♡」
マツバが腰を引いて、押し込んだ。ゆっくりと。一つ一つの律動を、丁寧に。引く時に膣壁が寂しそうに縋りつき、入る時に満たされて安堵する。ぬちゅ、ぬちゅと水音が響いた。
「あっ……♡ んっ……♡♡ 気持ちいいっ……マツバさんが中で動いてるの……分かるっ……♡♡♡」
マツバの手がイヨリの左手を取った。指を絡めて、布団に押し付けた。指輪同士がちん、と触れ合った。夫婦の証が鳴る。
「この身体も、この声も、この下着を見せてくれる気持ちも、全部僕のもの」
「マツバさんだけのもの……♡♡ 全部、全部……♡♡♡」
律動が加速した。角度を変えて、イヨリの最も感じる場所を突いた。前壁の敏感な膨らみを、先端で擦り上げるように、ぐりぐりと。
「ひぁっ……!♡♡♡♡ そこっ……!♡♡♡ また咲いちゃうっ……!♡♡♡♡」
「咲いて。何度でも」
マツバの腰が深く、強く突き入れた。最奥を突き上げながら、空いた手で乳房を掴んだ。Fカップの柔らかい果実を鷲掴みにして、乳首を指で弾いた。下と上から同時に攻められて、イヨリの意識が真っ白になった。
「咲くっ……!♡♡♡♡♡ 咲くの……!♡♡♡♡ マツバさんのでっ……咲いちゃうっ……!♡♡♡♡♡♡」
二輪目が咲いた。膣壁が痙攣的にマツバを締め上げて、イヨリの全身が大きく震えた。しかしマツバは止まらなかった。絶頂の最中に腰を動かし続けた。
「まだ。もっと咲いて。華より紅く」
「やっ……♡♡ もう無理っ……♡♡♡ あっ、あっ、またっ……♡♡♡♡」
絶頂が途切れる前に、次の波が押し寄せた。連続で身体が跳ねて、三輪目が強引に咲かされた。涙が零れた。気持ちよすぎて泣いていた。
「マツバさんっ……♡♡♡♡ 好きっ……♡♡ 好きぃっ……♡♡♡♡♡」
「僕も好きだよ。世界で一番」
マツバの腰が最後の加速をした。ぱんぱんぱんと肌が打ち合う音が古民家の寝室に響き渡って、マツバの呼吸が荒くなった。
「イヨリ……もう……」
「出してっ……♡♡♡♡ 中にっ……♡♡♡ マツバさんの全部ちょうだいっ……♡♡♡♡♡」
「イヨリっ……!」
最も深い場所で、マツバが射精した。灼熱の精が子宮を満たして、どくどくと脈打ちながら注がれた。イヨリは最後の花を咲かせた。四輪目。全身が弓なりに反って、声にならない悲鳴が喉から零れて、視界の端がちかちかと明滅した。華より紅く、夕焼けの寝室で、イヨリは咲き乱れた。
「あぁぁっ……♡♡♡♡♡♡ 温かいっ……マツバさんので……全部満たされた……♡♡♡♡♡♡♡」
二人の身体が重なって、布団の上に崩れ落ちた。荒い呼吸が重なって、汗ばんだ肌が貼りついて、心臓がお互いの鼓動を打ち合っていた。
どれくらい経ったのか。
障子の向こうの夕焼けが、紫に変わりかけていた。エンジュの夜が、静かに降りてこようとしている。
二人は布団の中で横向きに抱き合っていた。マツバの指が、布団の脇に散らばった深紅のブラを拾い上げた。繊細なレースを指でなぞった。
「……この下着、いくらした?」
「え? な、なんで聞くの?」
「高かったでしょ。レースの質が良い」
「……一万二千円」
「イヨリにしては奮発したね」
「だって……マツバさんのためだし……」
マツバが、深紅のブラをイヨリの裸の胸の上にそっと置いた。まるで薔薇の花びらを置くように。
「似合ってた。すごく。普段の淡い色もいいけど、紅いイヨリは、もっと好きだ」
「……♡ じゃあ、また着てもいい?」
「着て。でも他の男には見せないで」
「当たり前だよ。マツバさん専用だもん」
イヨリが、マツバの胸に頬を擦り付けた。マツバの腕がイヨリの裸の背中を撫でた。華奢な肩甲骨。細い腰。丸い臀部。全部を手のひらで確かめるように。
「ところで、肉じゃが」
「……あ」
イヨリの目が、ぱっと見開かれた。
「火、つけっぱなしにしてないよね……?」
「消したよ。イヨリが見せてくれた時、先に消しに行った」
「……いつの間に」
「イヨリがワンピースを脱ぐ前に。さすがに火事は困る」
イヨリが、ぽかんとした顔で見上げた。それからくすくすと笑い出した。
「マツバさん、冷静すぎない? 私が必死に勇気出してたのに」
「冷静だったのは火を消す時だけだよ。その後は全然冷静じゃなかった」
「嘘。さっきのマツバさん、すごく余裕あったもん」
「余裕なんかなかった。イヨリの紅い下着見た瞬間、本当に心臓止まるかと思った」
マツバが、イヨリの手を取った。薬指の指輪にキスをした。
「ありがとう。勇気出して、僕のために紅い花を咲かせてくれて」
イヨリの目が、じわりと潤んだ。涙が一筋、頬を伝った。
「……マツバさんのためなら、いくらでも咲くよ」
「じゃあ、また咲かせていい?」
「……今日、もう四回咲いたんだけど」
「五回目は、夜に」
「……♡ マツバさんの馬鹿」
でもイヨリは、嬉しそうに笑っていた。深紅のランジェリーが、布団の上で薔薇の花弁のように散らばっていた。その紅よりも紅く、イヨリの身体は咲き続けていた。
エンジュの夜空に、最初の星が瞬いた。
― Fin. ―
あとがき(佐藤美咲の独白)
主。「咲く」という絶頂表現を中心に据えた、花の比喩が全編を貫く構造にしたわ。一輪目は舌と指で、二輪目三輪目は挿入中に連続で、四輪目は射精と同時に。花が一本ずつ咲いていく庭園のように。
F65のイヨリ。華奢な肩にFカップの爆弾。普段は控えめなブラで押さえつけて、ポケモンドクターの白衣の下に隠してる。それが深紅のハーフカップで解放された時の衝撃。マツバの「心臓がおかしくなりそう」が全てを語ってる。
リボンで結ばれたショーツを歯で解くマツバ。プレゼントの包み紙を開けるように丁寧に。イヨリが「マツバさんに解いてほしくて選んだ」って言う場面は、あたしも書きながら叫んだわ。
一番好きなのは、マツバがイヨリの勝負下着に興奮しながらも、先にコンロの火を消しに行ってたっていうオチ。真面目なエンジュのジムリーダーは、火事だけは許さない。