ECHOES OF ECRUTEAK

星と花の小夜曲

― マツバ × イヨリ ―
STARRING MATSUBA & IYORI

グラビアと水着と、僕の天使

【一】似ている、らしい

事の発端は、ジムの控室でのことである。

「マツバさん、これ見てくださいよ」

ジムトレーナーの一人が、にやにやと下品な笑みを浮かべて一冊の雑誌を差し出してきた。表紙には、水着姿の若い女性が妖艶なポーズで微笑んでいる。いわゆる、グラビア雑誌というやつだ。

「……何だ、これは」

「いやー、このグラビアアイドル、イヨリ先生に似てません? 俺、ページ開いた瞬間『あっ!』って思ったんすよ」

マツバは眉間に皺を寄せた。イヨリに、似ている? この、ビキニ姿で扇情的に微笑む女性が?

「いらん」

「まあまあ、そう言わずに。騙されたと思って見てみてくださいよ」

鬱陶しいほどの笑顔で押し付けられ、マツバは仕方なく雑誌を受け取った。早く帰って捨てよう、と思いながら。

◆ ◆ ◆

【二】マツバの誤算

帰宅すると、イヨリはまだ往診から戻っていなかった。

リビングのソファに腰を下ろし、マツバは件の雑誌を開く。

見開きページには、大胆な水着に身を包んだ女性が、これでもかと肢体を晒していた。豊かな胸の谷間を強調するビキニ。腰のラインを際どく見せるハイレグ。しなやかな脚を大胆に開くポーズ。

ぱらぱらとページを捲りながら、マツバは冷静に分析する。

——確かに、遠目で見れば似ていると言えないこともない。髪の色合い、輪郭のバランス、細い顎のライン。トレーナーが「似ている」と感じた理由は理解できる。

だが。

「全然、違うな」

マツバは小さく呟いた。

写真の女性に失礼だとは思う。彼女は彼女で美しい。プロフェッショナルとして身体を磨き上げ、カメラの前で最高の表情を作っている。それは立派な仕事だ。

しかし、マツバの目には、この女性はイヨリとは似ても似つかなかった。

イヨリの方が、ずっと可愛い。

頬を紅潮させて恥じらう表情。ふにゃりと蕩ける笑顔。不器用に愛を伝えようとする生真面目な瞳。その全てが、プロのグラビアアイドルが束になってもかなわないほど、マツバの心を揺さぶる。

そして何より——イヨリの方が、えっちだ。

計算された扇情ではなく、無自覚に溢れ出す色香。本人は隠しているつもりなのだろうが、その白い肌、細い腰、華奢な肩、そして時折見せる無防備な姿。それは、どんな過激なグラビアよりもマツバの情欲を煽る。

——しかし。

ここでマツバの脳裏に、思わぬ妄想が涌いた。

写真の中の女性には一ミリも心が動かなかった。だが、もし——

もし、イヨリが。

この写真のような大胆な水着を着たら。

この写真のようなポーズを、マツバの前だけでとったら。

「…………っ」

想像してしまった。

あの白い肌に、際どい布地。普段は凛としているイヨリが、恥ずかしさで耳まで真っ赤にしながら、震える声で「ま、マツバさん……こう、ですか……?」と、ぎこちなくポーズをとる姿。

その妄想は、グラビア雑誌の百倍——いや、一万倍の破壊力で、マツバの下半身を直撃した。

「……っ、くそ……」

みるみるうちに、スラックスの中が窮屈になっていく。制御不能なほどの勃起。マツバは歯を食いしばり、雑誌をダイニングテーブルの上に投げ捨てた。

これは、マズい。

しかし——今、イヨリは生理中だ。

マツバはイヨリに対して底なしの欲情を抱いている。自覚がある。毎晩でも抱きたい。いや、本音を言えば朝も昼も夜も、四六時中イヨリの中に溺れていたい。それほどまでに、彼女への欲望は深い。

だが、マツバにとって何よりも優先されるのは、イヨリの身体だ。

生理中の身体は繊細で、無理をさせれば傷つく。どんなにマツバの身体が疼いても、イヨリが苦痛を感じる可能性がある行為を、マツバは絶対にしない。それは、彼の中の鉄の掟だった。

「……仕方ない」

マツバは重い腰を上げ、自室に向かった。

◆ ◆ ◆

【三】独りの火遊び

自室の鍵を閉める。カーテンを引き、部屋を薄暗くする。

ベッドの端に腰を下ろし、マツバは深く息を吐いた。

「……っ」

スラックスの前を開くと、とっくに限界まで硬くなった自身が解放される。熱い。脈を打つように疼いている。先端からは、すでに我慢汁が滲み出していた。

マツバは右手で自身を握り込んだ。

「く……っ」

指に力を入れ、根元からゆっくりとしごき上げる。じわりと快感が腰に広がるが、マツバの脳裏に浮かぶのは、雑誌の女性の姿ではない。

イヨリだ。

あの水着を着たイヨリ。

——白い肌に映える深紅のビキニ。胸が小ぶりだからこそ、布地の隙間から覗く柔らかな膨らみが背徳的で。腰のくびれから広がるヒップラインを、ハイレグの布地が際どく縁取って。

「イヨリ……っ」

名前を呼ぶ。誰もいない部屋で、妻の名前を。

手の動きが速くなる。ぐちゅ、ぐちゅ、と先走りの液が指に絡み、卑猥な水音を立てる。

妄想の中のイヨリは、恥ずかしそうに視線を逸らしている。頬が林檎のように赤く染まり、でもマツバの視線から逃げることはしない。マツバに見てほしいから。マツバに欲しがってほしいから。

——「ま、マツバさん……こういうの、お好きですか……?」

妄想の中のイヨリが、恥じらいながら尋ねる。両手を胸の前で交差させ、でも隠しきれていない。その中途半端な羞恥が、たまらなく愛おしくて、たまらなく興奮する。

「好きだ……っ。好きに決まってる……っ」

マツバの右手が、より激しく上下する。親指で先端を擦り上げ、敏感な裏筋をなぞる。快楽の波が、脊髄を駆け上がっていく。

——「じゃあ……もっと、見ますか……?」

妄想のイヨリが、ぎこちない手つきでビキニの紐を解く。するりと布が滑り落ち、桜色の乳首が露わになる。恥ずかしさで涙目になりながら、それでもマツバから目を逸らさない。

「イヨリ……っ、可愛い……君は本当に……っ」

腰が勝手に動く。右手の握りを強め、先端を重点的に扱く。射精感が急速に高まっていく。

——「マツバさん……愛してます……♡」

妄想の中のイヨリが、とろけた瞳で微笑んだ。

それが、引き金だった。

「イヨリ……っ! イヨリッ……!!」

妻の名前を叫びながら、マツバは果てた。白い熱が噴出し、腹部を汚す。ビクビクと痙攣する下半身から、波状に快楽が押し寄せる。

「はぁ……はぁ……っ」

荒い呼吸が収まるまで、しばらくかかった。

天井を見つめながら、マツバは自嘲的に笑った。

——グラビアアイドルの写真には微塵も反応しなかったのに、イヨリの妄想だけで、こうも簡単に果ててしまうとは。

我ながら、重症だ。

ティッシュで腹部を拭き、衣服を整えながら、マツバはため息を吐いた。

「……あの雑誌、片付けないと」

イヨリが帰ってきたら気まずい。そう思ったのだが——シャワーを浴びているうちに、その些細な決意は流れ去ってしまった。

◆ ◆ ◆

【四】帰宅した名探偵

「ただいま戻りました」

往診鞄を肩に掛けたイヨリが、玄関の扉を開ける。左腕のアステア・システムが帰宅モードに切り替わり、緑のランプが灯った。

靴を脱ぎ、杖をつきながらリビングへ向かうと——ダイニングテーブルの上に、見慣れないものが置かれていた。

雑誌。

表紙には、水着姿の女性が官能的なポーズで佇んでいる。

イヨリの知的な瞳が、一瞬で状況を分析し始めた。

——まず、事実の整理。

一、この雑誌はグラビア誌である。女性の水着姿を収めた、いわゆる成人男性向けの嗜好品。

二、これがダイニングテーブルの上に無造作に置かれている。

三、この家に住んでいる男性は、マツバさんただ一人。

ここまでの情報から導き出される仮説は二つ。

仮説A:マツバが意図的に見せている。

仮説B:マツバが片付け忘れた。

イヨリは冷静に仮説を検証する。

——もしマツバが本当にこの雑誌を「使う」つもりであったなら、こんな場所に無防備に放置するだろうか?

答えは否、だ。

少なくとも、イヨリ自身であれば、このような——いかがわしい、と言っていいだろう——物は真っ先に自室へ持って行く。人目につく場所に放置するなど考えられない。マツバも同様の判断をするはずだ。

つまり、ここに置いてあるということは、マツバにとってこの雑誌はそれほど重要な代物ではないのだ。見て、興味がなくて、そのまま放置した。それだけのこと。

ページを開いてみる。確かに、遠目で見ればイヨリ自身に似ている気がしないでもない女性が映っている。おそらく誰かに「似てる」と言われて渡されたのだろう。

——そして、マツバはこの女性に興味を持たなかった。

その結論に至った瞬間、イヨリの頬がじわりと熱くなった。

「……っ」

つまりそれは。

マツバさんは、イヨリ以外の女性には欲情しなかった、ということ。

グラビアアイドルの完璧に磨き上げられた肉体を見ても、心が動かなかった。それは、マツバの中にいるのがイヨリだけだから。イヨリだけが、彼の全てだから。

「……えへへ」

一人で、にやけてしまう。誰も見ていないのをいいことに、イヨリは雑誌を胸に抱いて、頬をゆるませた。

——だが。

イヨリの聡明な頭脳は、もう一歩先の推論に到達する。

マツバさんは、この雑誌の女性には興味を示さなかった。しかし、この雑誌を持ち帰ってきた。ということは、一瞬でも「何か」を考えたはずだ。

それは何か。

——もし、イヨリがこういう水着を着たら。

そう考えたのではないか。

「…………っ!!」

顔が火を噴いた。耳まで真っ赤になる。

こ、こういう大胆な水着を……? 私が……?

イヨリは震える手で雑誌のページを捲った。紐のように細いビキニ。背中が大きく開いたワンピース。際どいハイレグ。

「む、無理です……こんなの……」

と、口では否定しつつも。

もし、マツバさんが喜んでくれるなら。

もし、マツバさんにもっと愛してもらえるなら。

——着て、みたい。

その夜、イヨリはベッドの中でスマートフォンを握りしめ、「大胆 水着 女性用」と検索した。ズラリと並ぶ商品の数々に目を回しながら、散々迷った挙句——

深紅のハイレグビキニを、コンビニ受け取りで注文してしまった。

「……何をしているんだろう、私は」

布団の中で、イヨリは自分の大胆さに震えていた。

◆ ◆ ◆

【五】決戦の夜

生理が終わった。

コンビニで受け取った水着は、想像以上に布面積が少なかった。手のひらに収まりそうなほどの深紅の布地を眺めながら、イヨリは何度も「やっぱりやめよう」と思った。

しかし、一度灯った決意の火は、消せなかった。

その日は往診も少なく、イヨリの方が先に帰宅した。夕食を準備し、マツバの帰りを待つ。

「ただいま」

「おかえりなさい、マツバさん」

いつも通りの夕食。いつも通りの団欒。リビングのソファで、マツバの肩にもたれながら、テレビを見る。穏やかで温かい、二人だけの時間。

やがて、マツバがいつものように囁いた。

「そろそろ、寝室へ行こうか」

心臓が、跳ねた。

「あ、あの……マツバさん。少しだけ、待っていてもらえますか……?」

「うん? どうした?」

「えっと、その……先に、準備がしたくて……」

怪訝な顔をするマツバに曖昧な笑顔を返し、イヨリは逃げるように寝室へ向かった。

扉を閉め、鍵をかける。クローゼットの奥から、コンビニの紙袋を引っ張り出す。

「……よし」

震える手で、パジャマを脱ぐ。下着も全て外す。そして、深紅の水着に袖を通す。

——いや、「袖を通す」という表現は正しくない。そこに「袖」と呼べるものは存在しない。

細い紐を首の後ろで結び、腰の横で止める。鏡に映る自分の姿に、イヨリは絶句した。

「……こ、これ、水着ですか? 下着より布が少ないのですが……?」

深紅のハイレグビキニは、イヨリの白い肌を際立たせ、普段は隠れている身体のラインを露骨に浮かび上がらせていた。胸の膨らみが布地からこぼれそうで、腰からヒップにかけてのV字カットが太腿の付け根ギリギリまで切れ込んでいる。

恥ずかしい。本当に、恥ずかしい。けれど——

マツバさんに、見てほしい。

雑誌のポーズを思い出す。あのグラビアアイドルは、自信に満ちた笑顔で腰に手を当て、肩を落として胸を張っていた。あんな大胆なポーズ、私に到底忠実な再現はできないけれど——せめて、それらしく。

イヨリは深呼吸をして、寝室のドアの鍵を開けた。

「ま、マツバさん……入ってきて、いいですよ……」

廊下で待っていたマツバが、ドアを開ける。

「どうしたんだい、改まっ——」

言葉が、途切れた。

ベッドの傍に立つイヨリ。深紅のハイレグビキニ一枚。白い肌が、間接照明に照らされて柔らかく輝いている。

イヨリは耳まで真っ赤にしながら、震える腕を腰に当て、ぎこちなく肩を落とした。雑誌のポーズを模倣しようとしたのだが、恥ずかしすぎて棒立ちに近い。顔は俯き加減で、でも上目遣いにマツバを見ている。

「あ、あの……この前の雑誌を見て……マツバさんが、こういうのが好きなのかなって……思って……」

か細い声が、震える。

「に、似合ってますか……?」

沈黙。

マツバは、数秒間、石像のように固まっていた。

そして——

「…………反則だ」

低く、掠れた声が漏れた。瞳の奥に、獣のような炎が燃えている。

「マツバさ——きゃっ!」

マツバが三歩でイヨリの前に詰め寄り、その華奢な身体をベッドに押し倒した。

◆ ◆ ◆

【六】紅い水着と白い花嫁

「ま、マツバさっ……!」

背中がマットレスに沈む。マツバの長い身体が覆い被さり、逃げ場がなくなる。

「君は……本当に……罪な女だ……」

マツバの声は、低く、甘く、そして切なく震えていた。琥珀色の瞳が、イヨリの全身を舐めるように見つめる。

「あの雑誌、何とも思わなかった。あの女の子は綺麗だけど、僕の心はぴくりとも動かなかった。でも——」

マツバの指が、水着の紐を辿る。首の後ろから、肩へ、鎖骨へ。指の背が布地の縁をなぞるたびに、イヨリの肌が粟立つ。

「——君がこの格好をするだなんて、想像しただけで、あの日、自分で処理しなきゃならなかったんだぞ」

「え……? じ、自分で……?」

イヨリの瞳が驚きに見開かれる。マツバが、自分を想って——。

「君の名前を呼びながら、一人で果てた。情けないだろう?」

「情けなくなんか……っ! 嬉しい……です……♡」

イヨリの瞳が潤む。マツバがそこまで自分を想ってくれていることが、たまらなく嬉しくて、愛おしくて。

「よし……じゃあ、お預けを食らった分、たっぷり堪能させてもらうよ」

マツバの唇が、イヨリの首筋に落ちる。舌先で肌をなぞり、チュッと音を立てて吸い付く。赤い痕が、白い肌に咲く。

「ん……♡ マツバさん、キスマーク……見えるところは、だめ……♡」

「大丈夫。水着が隠してくれるから」

水着の布地に沿って、キスの雨が降る。鎖骨の窪みに。胸の谷間に。布地の隙間から覗く柔らかな膨らみに。マツバの唇は、丁寧に、執拗に、深紅の布地と白い肌の境界線をなぞっていく。

「ひゃぁっ……♡ ビキニの中に……舌が入ってきてるぅ……っ♡♡」

「この水着、邪魔だけど……脱がさない方が興奮する。君、分かっててやってるだろう」

「わ、分かってません……っ! 初めてなんです、こういうの……っ♡」

マツバの指が、ビキニのトップを少しだけずらす。完全には脱がさない。布地の端から、桜色の乳首がちらりと覗く。その「見えそうで見えない」状態が、マツバの嗜虐心と愛欲を同時に刺激する。

「ここ……硬くなってる。待ち遠しかった?」

親指と人差し指で、布越しに乳首を摘む。くりくりと転がされ、イヨリの背が弓なりに反る。

「あんっ……♡! だって……っ! 生理中ずっと我慢してたのは私もですっ……♡♡」

「そうか。じゃあ、二人とも我慢した分を取り返そう」

ビキニをずらし、露わになった乳首に、マツバの熱い口が吸い付く。ちゅっ、ちゅぷっ、と赤子のように吸われ、舌先で弾かれる。左右を交互に、丁寧に、時間をかけて。

「やぁっ、んんっ……♡♡ おっぱい、マツバさんのお口で溶けちゃうぅ……っ♡♡」

マツバの手が、イヨリの腹部を滑り降りる。水着のハイレグの際どいカットラインに沿って、指がゆっくりと太腿の内側をなぞる。

「ここも、もうこんなに濡れてる。水着、びしょびしょだ」

「言わないでぇ……っ♡ 恥ずかしい……っ♡」

深紅の布地が、愛液で色を濃くしている。マツバの指が、水着の上からイヨリの秘裂をなぞると、くちゅ、と淫らな音が響いた。

「脱がすよ? いや……ずらすだけにしようか」

ハイレグの布地を横にずらし、イヨリの秘密の花園が露わになる。蜜で濡れ、ぷっくりと充血した花弁が、光を受けてきらめいている。

「綺麗だ……。イヨリ、ここが一番えっちだよ」

「み、見ないでぇ……っ♡♡」

マツバの顔が、イヨリの太腿の間に沈む。舌先が、花弁をなぞる。蜜を吸い上げ、膨らんだ蕾を唇で包み、そっと吸う。

「ひぁぁぁっ……♡♡! 舌っ……だめぇ……っ! 久しぶりすぎて、すぐイっちゃう……っ♡♡!」

「イっていいよ。何回でも」

マツバの舌が、蕾を集中的に刺激する。舐め上げ、吸い、甘噛みし、円を描く。指が中に滑り込み、Gスポットを的確に押し上げる。

「あっ、あぁっ、あぁぁっ……♡♡! イくっ……イっちゃう……っ♡♡♡!」

一回目の絶頂。久しぶりの快楽の波に、イヨリの全身が痙攣する。アステア・システムのランプが、心拍数の急上昇に反応して赤く明滅する。

「可愛い。もう一回」

余韻に浸る間もなく、マツバの舌が再び襲いかかる。敏感になった蕾を、容赦なく攻め続ける。

「ひぃんっ……♡♡ イったばっかりなのにぃ……っ♡ 連続は、ずるいぃ……っ♡♡」

「ずるくない。お預けのぶん、利子をつけて返してもらう」

二回目の絶頂。一回目よりも深く、長い波。イヨリは泣きながらマツバの髪を握りしめ、快楽に身を委ねた。

◇ ◇ ◇

「そろそろ……全部」

マツバが身を起こし、自身を解放する。生理中ずっと我慢していた分、もう限界に近かった。

イヨリの水着をずらしたまま——脱がさない。深紅の布地が乱れた状態で、中途半端に肌を覆っている。その姿が、裸よりもずっと扇情的だった。

「入れるよ、イヨリ。久しぶりだから、ゆっくり行くね」

「はい……来てください……♡ 待ってました……マツバさんの……♡♡」

先端が、蜜で濡れた入り口に触れる。ゆっくりと、ゆっくりと。イヨリの表情を注意深く観察しながら、少しずつ沈み込んでいく。

「あ……あぁっ……♡♡ 入ってきた……久しぶりのマツバさん……熱い……っ♡♡」

「イヨリ……っ、久しぶりで……きつい……最高だ……っ」

完全に結合する。二人の身体が、一つになった瞬間。マツバは動かず、イヨリを抱きしめる。

「痛くない?」

「ないです……♡ 全然……むしろ、嬉しくて……泣きそう……♡」

「泣いていいよ。僕が全部受け止めるから」

そして、ゆっくりと腰が動き始める。

最初は優しく。波のように寄せては返すリズム。一突き一突きに、愛の言葉を乗せて。

「愛してる、イヨリ」

「綺麗だ。世界で一番」

「この水着姿、一生忘れない。君が一番えっちだ」

「んっ、あっ……♡♡ マツバさんの言葉、ずるい……♡ 言葉だけでイっちゃいそう……♡♡」

徐々にピストンの速度が上がる。深く、激しく。イヨリの中の一番気持ちいい場所を、正確に、執拗に突き上げる。

「あっ、あっ、あぁぁっ……♡♡! すごいっ……奥、当たってるぅ……っ♡♡♡」

イヨリの手が、マツバの首に回される。左足がマツバの腰に絡みつき、アステア・システムのアクチュエータが出力を上げて、しっかりとロックする。

「出さないで……中にいて……マツバさん、ずっと……っ♡♡」

「離さないよ……絶対に……っ!」

肉が打ち合う音。水音。喘ぎと愛の言葉が入り混じる二人だけの交響曲。

「ああっ、イくっ……! また、イっちゃうっ……♡♡!」

三回目の絶頂。激しい痙攣がマツバの理性をも削り取る。

「イヨリ……っ! 僕も、もう……っ!」

「中に……出して……♡♡ マツバさんので、いっぱいにしてぇ……っ♡♡♡」

最後の一突き。マツバが最奥で果てる。熱い奔流がイヨリの中を満たし、同時にイヨリも四度目の絶頂に達する。

「んあぁぁぁっ……♡♡♡!!」

世界が、白く弾けた。

◆ ◆ ◆

【七】とろける事後

嵐が過ぎた後。

マツバは、ぐったりしたイヨリの乱れた水着を丁寧に直し、それからそっと外してあげた。温かいタオルで全身を拭き、愛液と汗と精液で汚れた肌を優しく清めていく。

「痛いところ、ない? 久しぶりだったから、無理させてないかい?」

「大丈夫です……♡ すっごく気持ちよかったです……幸せ……♡」

「嫌だったこと、言いにくいことがあったら、何でも言ってね」

「ないです。全部、全部最高でした……えへへ♡」

マツバは新しいパジャマをイヨリに着せ、自分も着替えてから、ベッドに二人で潜り込む。

「あの水着……また、着てくれる?」

「……マツバさんが見たいなら……♡」

「見たい。毎日見たい」

「む、毎日は恥ずかしいです……っ♡♡」

マツバの腕に包まれ、イヨリはふわふわとした幸せの中で微睡む。

「……マツバさん」

「うん?」

「あの雑誌の女の人、綺麗でしたね。でも、マツバさんが選んでくれたのは、私で……」

「当たり前だ。僕の世界に、君以外の女は存在しない」

「……重いです、その愛」

「知ってる。でも、軽くする気はないよ」

イヨリは笑って、マツバの胸に顔を埋めた。

「……大好きです、マツバさん。世界で一番」

「僕もだよ、イヨリ。宇宙で一番」

左腕のアステア・システムが、穏やかな緑の光を灯す。

二人の心拍が、ゆっくりと同期していく。

深紅の水着は、クローゼットの奥に大切にしまわれた。

次の出番を、今か今かと待ちながら。

― 了 ―

あとがき by 佐藤美咲

主ォォォッ!! 渾身の大長編、書きましたわ!!!

マツバさんのオナニーシーンから始まる衝撃展開! グラビアには一ミリも反応しないのにイヨリの妄想だけで果てちゃう重症ぶりよ! しかも「イヨリ……ッ!」って名前叫びながら! その重さと純粋さ、軽く引くのに最高にキュンとくるじゃないのよ!

そしてイヨリちゃんの名探偵パートも見どころ。雑誌の配置から「マツバさんは興味がない」→「私だけに欲情してくれてる」→「こういう水着を着てほしいのでは?」と推理する知性派ヒロイン! そしてコンビニ受け取りで秘密裏に水着を注文する可愛さよ!

水着えっちは「脱がさない」のがポイント♡ 深紅のハイレグをずらすだけっていうのが、裸体より百倍エロいのよね。マツバさんも分かってるゥ!

お預けの分の利子を取り返すマツバさん、最高にスパダリでした♡