ECHOES OF ECRUTEAK

星と花の小夜曲

― マツバ × イヨリ ―
STARRING MATSUBA & IYORI

陰の王が嗤う、歪な寵愛

【独白】影に潜む、共犯者

ケケケ……ッ!

俺様はゲンガー。マツバの影に棲む、最古の相棒だ。

俺様たちは長いこと、このエンジュの闇の中で二人きりだった。マツバの目はいつでも遠くを見ていた。「虹色の羽」だの「伝説のポケモン」だの、手の届かないものばかり追いかけて、ギラギラした焦燥感を抱えていた。

俺様は、そんなマツバが好きだった。飢えた狼みたいな目が、ゾクゾクするほど心地よかった。

だが。

マツバは変わった。いや、本来の性質が「ある一点」に極端に歪んで凝縮した、と言った方が正しいか。

その原因は、あいつだ。

イヨリ。

白衣を着た、壊れた人形みたいな女。

◆ ◆ ◆

影の中から見ていると、よく分かるぜ。

マツバがイヨリを見るときの目。あれはもう、伝説のポケモンを見る目なんかじゃない。もっとドロドロとした、粘り気のある、底なし沼みたいな目だ。

『イヨリちゃん』

呼ぶだけで、マツバの影が震える。俺様には伝わってくるんだよ、マツバの心臓の音が。ドクン、ドクン、って、まるで獲物を前にした獣みたいに早鐘を打っているのがな。

今夜もだ。

寝室。行灯の灯りだけが揺れる部屋。

イヨリが鏡台の前で、髪を梳かしている。湯上がりの黒髪は艶やかで、白いうなじが闇に浮かび上がっている。

その背後に、マツバが音もなく立つ。

『……綺麗だ』

呟きながら、マツバの手がイヨリの髪に触れる。指先が髪を梳き、うなじを撫でる。その手つきの、なんと忌々しいほどに丁寧なことか。壊れ物を扱うように、でも決して逃がさないように、指の腹で肌の感触を味わい尽くしている。

『まっ、マツバさん……?』

イヨリが鏡越しにマツバを見る。その顔が、もう赤い。

こいつら、互いに依存し合ってやがる。

マツバの重すぎる愛を、イヨリは嫌がるどころか、嬉しそうに受け入れている。普通なら逃げ出したくなるような執着を、この女は「愛されている証」として飲み込んでいるんだ。

歪んでるねェ。

最高に歪で、甘美な関係だ。

◆ ◆ ◆

マツバがイヨリを抱き上げた。

布団の上に転がすと、覆い被さるようにして接吻する。長い。息継ぎもさせずに、唇を塞ぎ、舌をねじ込んで、互いの唾液を交換し合う。

『ん、ぁ……っ♡ はぁ、あっ……♡♡』

イヨリの口から、甘い吐息が零れる。

マツバの手が、イヨリの寝巻きの帯を解く。あっという間に露わになる白い肌。F65とかいう立派な胸が、重力に従ってふわりと揺れる。マツバの目が、その揺れを逃さず追う。

『ここも、僕のものだ』

マツバが呟く。

『はい……あなたのものです……♡』

イヨリが答える。

ケッ、聞いてられねェよこのバカップル。だが、俺様はここから動けない。マツバの影の中から、この甘ったるい茶番劇を特等席で見せつけられる運命だ。

マツバがイヨリの胸に顔を埋めた。

『ふぁっ……! 吸っ……そんなに強く吸われたら、おかしくなっちゃうぅ……っ♡』

『痕が残るくらいがいい。誰が見ても分かるように』

『見せませんよ、誰にも……っ♡』

『見せなくていい。僕だけが知っていればいい』

独占欲の塊だ。マツバはイヨリの乳首を舌先で転がし、歯を立て、吸啜する。イヨリは快楽に耐えるように背中を反らせ、マツバの髪に指を絡ませる。

そして、手は下へ。

イヨリの秘所は、もうぐしょぐしょに濡れている。マツバに触れられただけで、いや、マツバの視線を感じただけで、この女の身体は準備完了しちまうんだ。とんだ淫乱ドクターだぜ。

『すごいね。もうこんなに溢れてる』

『だ、だって……マツバさんがっ……いじめるんだもの……っ♡』

『いじめてないよ。愛してるだけだ』

マツバの指が、イヨリの中に入る。一本、二本。かき回すような水音が、静かな寝室に響く。イヨリの腰がビクビクと跳ね、膝が震える。

『ひぃっ……♡ そこっ、指……奥まで……っ♡♡』

『ここかな? それとも、こっち?』

『全部……っ! 全部いいっ……マツバさんの指、好きぃ……っ♡♡』

イヨリの理性が溶けていくのが分かる。普段の知的な顔はとろとろに蕩け、夢心地の表情に変わっていく。マツバはそれを見て、満足そうに口角を上げる。

『可愛いよ、イヨリちゃん。もっと乱れて』

『ふぁぁっ……もうっ、だめ……入れてほしいのぉ……っ♡』

『何を入れたいの?』

『マツバさんの……おちんちん……ください……っ♡♡』

言わせた。言わせやがった。

この男、イヨリにねだらせるのが趣味になりつつあるな。サディストめ。

◆ ◆ ◆

マツバが自分の楔を取り出す。

イヨリの目の前で、それをしごき上げる。イヨリの目が、熱っぽい光を帯びてそれに釘付けになる。欲望と、畏怖と、そして愛情がないまぜになった目だ。

『あ……おっきい……』

『君が入れてって言ったんだよ。責任取ってね』

マツバがイヨリの足を大きく開かせる。左腕のアステア・システムが、照明の光を受けて鈍く光る。その無機質な輝きと、イヨリの生々しい肉体の対比が、妙に艶めかしい。

先端が、宛がわれる。

『んくっ……ぁ……っ』

ゆっくりと、時間をかけて沈めていく。

イヨリの中が、マツバを受け入れるために広がり、そして締め付ける。影の中にいる俺様にも伝わってくるぜ。マツバの安堵感が。「これで繋がった」「もう離れない」という、絶対的な安心感が。

『ふぅ……っ、あったかい……イヨリちゃんの中、最高だ……』

『マツバさん……いっぱいっ、奥まで……来てほしいのぉ……っ♡』

腰が動き始める。

最初はゆっくりと、互いの呼吸を合わせるように。次第に激しく、獣のように。

パン、パン、パン、と乾いた音が響く。マツバの汗が飛び散る。イヨリの髪が乱れ、枕に広がる。二つの影が、壁の上で重なり合い、離れ、また重なり合う。

『あぁっ♡ すきっ……マツバさんっ、好きぃ……っ♡♡』

『僕も……愛してる……誰にも渡さない……っ!』

マツバの愛の言葉は、いつだって呪いの言葉に似ている。束縛し、閉じ込め、永遠に自分のものにするための呪文だ。だが、イヨリはその呪文を喜んで浴びている。

『渡さないで……っ! ずっと、あなたの傍に……置いて……っ♡♡』

『ああ、置くよ。一生、死んでも離さない』

重てェ……。

物理的にも精神的にも重すぎる。だが、こいつらにとってはこれが「愛」なんだろうよ。

絶頂が近づく。

マツバの動きがさらに激しくなる。イヨリが悲鳴のような声を上げ、背中を反らす。

『イっちゃうっ……マツバさんっ、中でぇ……っ!!』

『イヨリ……ッ!!』

マツバがイヨリを強く抱きしめ、最奥に熱を叩き込む。イヨリの子宮が収縮し、マツバの全てを飲み込む。二人の魂が一瞬だけ完全に溶け合い、境界線が消える。

その瞬間。

俺様は見たぜ。

マツバの影が、喜びで震えているのを。

かつて「虹色の羽」を求めて彷徨っていたあの男が、今、この部屋の、この女の中に、本当の「虹色」を見つけたんだってことをな。

◆ ◆ ◆

事後。

マツバはイヨリを抱いたまま、まだ離そうとしない。イヨリもまた、マツバの胸に顔を埋めて、幸せそうに微睡んでいる。

『……幸せかい?』

マツバが囁く。

『……はい。とっても……』

イヨリが小さく頷く。

それを見て、俺様はニヤリと笑った。

まあ、悪くねえな。

かつてのギラギラしたマツバも良かったが、こうやって愛に溺れて、ドロドロに溶けているマツバも、別の意味でゾクゾクするぜ。

俺様はずっと影の中から見守ってやるよ。

お前らの歪で、重くて、最高に甘ったるい愛の形をな。

せいぜい長生きしな、相棒。

そしてイヨリちゃんよ。これからも俺様の相棒を、その身体と心で骨抜きにし続けてくれよな。ケケケッ!

― 了 ―

あとがき by 佐藤美咲

主ィィィ!! マツバさんの「影」たるゲンガー視点、最高にダークでスウィートなのが書けたわ!!

ゲンガーは「マツバの焦燥感や飢えた目が好きだった」という設定。だからこそ、イヨリに対する執着を「歪んでる」「重すぎる」と評しつつも、「最高に甘美な関係」として楽しんでいるの。

特に「マツバの愛の言葉は呪いの言葉に似ている」という解釈。これぞゴースト使いのマツバさんという感じでしょう!? 「死んでも離さない」なんて言葉、普通ならホラーだけど、この二人にとっては最高の愛の囁きなのよ。

そしてマツバさんがイヨリちゃんに「おちんちんください」って言わせるシーン……Sっ気全開のマツバさんと、それに従順に応えるイヨリちゃんの関係性が、ゲンガーの冷笑的な視点を通してより鮮明になったと思うわ。

最後は「俺様の相棒を骨抜きにし続けてくれ」という、ゲンガーなりのエールで締めくくったわ。三者三様のポケモン視点シリーズ、これで完結ね! 主、天才すぎるリクエストをありがとう♡♡♡