ECHOES OF ECRUTEAK

星と花の小夜曲

― マツバ × イヨリ ―
STARRING MATSUBA & IYORI

気球は知る、重すぎる愛の引力

【独白】空を忘れた魂たち

ふわふわ。ふわふわ。

ボクはフワライド。風に乗って、あてどなく彷徨う気球ポケモン。

昔のご主人——マツバは、ボクたちと同じだった。いつも空を見上げて、伝説の鳳凰を追いかけて、心ここにあらずで。いつか風に乗って、どこか遠くへ消えてしまいそうな危うさがあったんだ。

でも、今は違う。

マツバはもう、空を見ない。彼が見つめるのは、目の前にいる一人の女性——イヨリだけ。

ボクは知ってるよ。魂をあの世へ運ぶと言われるボクたちゴーストポケモンでさえ、今のマツバの「執着」には敵わないってことを。彼がイヨリを抱きしめる時のあの重力は、どんな風が吹いても決して飛ばされない、絶対的な錨(いかり)なんだ。

◆ ◆ ◆

夜の寝室は、甘い匂いで満ちている。

ボクは天井の隅っこ、ランプの影に浮かびながら、その光景を見ている。

『……イヨリ。こっちを向いて』

『んっ……はい、マツバさん……っ♡』

マツバがイヨリを抱き寄せ、その唇を塞ぐ。ただのキスじゃない。呼吸すら奪うような、長く、深い吸いつき。イヨリの身体が力なくマツバの腕の中でしなり、白い頬が桃色に染まっていく。

イヨリの左腕には、彼女の身体の一部である「アステア・システム」の腕輪が嵌められている。その無機質な緑色の光が、薄暗い部屋の中で蛍のように揺れている。

『苦しくないかい?』

『く、苦しいです……でも、幸せ……っ♡』

『そうか。なら、もっと苦しくしてあげる』

マツバの手が、イヨリの薄い寝巻きの中に滑り込む。華奢な肋骨をなぞり、ふくよかな胸の膨らみを掌で包み込む。

『ふぁ…っ♡ 冷たい手……気持ちいいのぉ……っ♡』

『君が熱すぎるんだよ』

くにくにと指先で愛玩され、イヨリの甘い声が漏れる。ボクたちゴーストタイプはひんやりしているけど、マツバの愛撫はそれ以上に執拗で、熱を孕んでいる。

『あっ、んっ…♡ そこ、だめぇ…っ♡ いじわるしないでぇ…っ』

『意地悪じゃない。愛でてるんだ。……可愛いよ、イヨリ』

マツバは本当に、イヨリの全てが好きでたまらないみたいだ。事故で不自由になった左目も左足も、彼にとっては愛おしい欠損であり、自分が守るべき証なんだろう。

『マツバさん……好きっ……大好きぃ……っ♡』

イヨリがマツバの首に腕を回す。彼女もまた、マツバなしでは生きられない。ボクは風に流されるのが好きだけど、この二人は互いの引力で引き合って、決して離れようとしない。

そして、ついにその時が来る。

マツバがイヨリの足を割り開き、自身の硬く反り返った欲望を押し当てる。

『入れるよ。深く』

『はいっ……♡ 深いのがいいっ……一番奥まで、来てぇ……っ♡♡』

ずぷり、と沈む音。

『あぁっ……あんっ……♡! すごぉい……っ! マツバさんので、いっぱいになっちゃうぅ……っ♡♡』

イヨリの瞳が、とろとろに蕩ける。理性の欠片もない、ただ快楽と愛に溺れる雌の目。左腕のアステア・システムが、危険信号みたいに赤く点滅を始める。

マツバはイヨリの腰を掴み、逃がさないように固定して、激しく腰を打ち付ける。

『イヨリ……ッ! 君は僕のものだ……誰にも渡さない……ッ!』

『あんっ、あっ、あっ……♡♡ マツバさんのものぉ……っ♡ 私、マツバさんだけのものなのぉ……っ♡♡』

重い。愛が重いよ、マツバ。

ボクならそんなに縛られたらパンクしちゃいそうだけど、イヨリはその重さを全身で受け止めて、むしろ喜んでいる。

『イくっ……イっちゃう……っ! マツバさんの愛で、頭おかしくなっちゃうぅぅ……っ♡♡!』

『おかしくなればいい。僕しか見えなくなるまで』

激しい水音が部屋に響く。イヨリの背筋が弓なりに反り、喉から可愛らしい悲鳴が上がる。

『ひぃぃんっ……♡♡! もう、だめぇ……っ! すごいのぉ……っ♡♡』

マツバの動きは止まらない。一度の絶頂では満足せず、何度も何度も、イヨリがぐったりするまで彼女を貪り続ける。まるで魂まで融合させようとするみたいに。

◆ ◆ ◆

嵐のような時間が過ぎて。

イヨリはマツバの腕の中で、泥のように眠っている。アステア・システムの光はもう穏やかな緑色に戻って、すー、すー、と寝息を立てている。

マツバはそれを、愛おしそうに眺めながら、まだ離さない。

『……どこへも行かせないよ』

独り言のように呟いて、イヨリの髪にキスを落とす。

ボクはふわふわと揺れながら思う。

人は死ぬと魂になって、ボクたちが連れて行くことになってるけど……この二人に限っては無理だね。

マツバの愛は重力だ。イヨリの魂を現世に繋ぎ止める、最強の鎖。

気球であるボクにはちょっと理解できない重さだけど、まあ、幸せそうだからいいか。

二人の邪魔をしないように、ボクはそっと窓の外へ視線を移した。エンジュの夜空には月が浮かんでいる。

かつてマツバが追いかけていた空。でも今の彼には、この小さな部屋と、腕の中のぬくもりこそが、全世界なんだろうね。

― 了 ―

あとがき by 佐藤美咲

主ィィィ!! フワライド視点、お届けしましたわ!!

フワライドといえば「風に乗って彷徨う」「魂を運ぶ」ポケモン。そんな彼から見ると、マツバさんの愛は「空を忘れるほどの重力」であり「魂を繋ぎ止める錨」なのね。

今回はとにかくイヨリちゃんの反応を甘々にしてみました! 「苦しいけど幸せ」「マツバさんだけのものなのぉ」と、重たい愛を全力で肯定する健気な姿……可愛すぎない!?

アステア・システム(左腕)の描写もしっかり入れつつ、マツバさんの「独占欲」とイヨリちゃんの「被所有欲」がガッチリ噛み合った、最高にエッチで幸せな夜。フワライドも「お熱いことで」と呆れつつ見守っている感じが出せたかしら?

これでポケモン視点シリーズ、第六弾! どの子から見ても、結局二人はバカップル(褒め言葉)ってことね♡