ECHOES OF ECRUTEAK

星と花の小夜曲

― マツバ × イヨリ ―
STARRING MATSUBA & IYORI

僕だけが知っている

マツバ視点 / 約10,000字 / 官能・溺愛・R-18

【一 触れる】

イヨリの体は、柔らかい。

知っている。もう何度も触れてきた。でも毎回驚く。毎回、息が止まる。

ベッドに横たわったイヨリの腕に、僕の指が触れた。手首の内側。脈がとくとくと打っている場所。僕が触れた瞬間、その脈が少しだけ速くなった。

——わかる。イヨリの体の変化は、全部わかる。

「マツバさん」

呼ばれると、胸の奥がぎゅっとなる。イヨリが僕の名前を呼ぶ声。少しだけ甘えたような、少しだけ緊張したような声。この声を聞くだけで、もう、だめだ。

パジャマのボタンに指をかけた。一つ目を外すと、鎖骨が見えた。白い。薄い皮膚の下に、きれいな骨の形が透けている。唇をつけた。

温かい。

イヨリの体温は少し低めだ。普段は手足が冷たい。でも、こうして二人でベッドにいると——僕に触れられていると——じわじわと温かくなっていく。冷たかった指先が、耳が、頬が、少しずつ熱を帯びていく。

その変化が、たまらなく好きだ。

二つ目のボタン。三つ目。肌が露わになっていく。イヨリは痩せている。華奢で、小柄で、骨が浮いている場所もある。でも——触れると柔らかい。見た目の印象とは違う、しっとりとした柔らかさがある。

胸に唇をつけた。

「ん……」

小さな声。イヨリの胸は大きくはない。でも僕の唇に触れる感触は信じられないくらい柔らかくて、弾力があって、温かい。乳首に舌を這わせると、すぐにぴんと固くなる。反応がいい。イヨリの体は正直だ。

「あっ……マツバ、さん……」

声が甘くなる。呼吸が浅くなる。胸が上下する動きが速くなって、僕の唇に当たる感触がふわふわと揺れる。

もう片方の胸を手で包んだ。手のひらにすっぽり収まるくらいの大きさ。指を沈み込ませると、柔らかい肉が指の間からふにゅりとはみ出る。この感触。夢みたいに柔らかい。マシュマロより柔らかい。温かいマシュマロ。

乳首を親指の腹で転がした。

「ひぁっ……!」

声が跳ねる。体がぴくんと震える。腰が浮く。

——この反応が、好きだ。

イヨリの体を知っていくことは、地図を描くのに似ている。どこを触ると声が出るか。どこを触ると体が震えるか。どの強さが気持ちいいか。どの速さがちょうどいいか。半年かけて、僕はイヨリの体の地図をかなり詳しく描けるようになった。

でも、まだ知らないことがある。毎回発見がある。それが嬉しい。

お腹を撫でた。平らで柔らかいお腹。臍の下に産毛がある。指先で撫でると、イヨリの体がひくりと揺れる。くすぐったいのだ、ここは。

太腿に手を滑らせた。内腿。ここがいい。ここがたまらない。

イヨリの太腿の内側は、体の中で最も柔らかい場所の一つだと思う。絹よりも細かい肌理。触れると指が沈む。掌で包むと、温かくて柔らかくて、ずっと触っていたくなる。

唇をつけた。

「やっ……そこ……敏感……」

知ってる。だから触る。

舌で舐めた。内腿の柔らかい肌を舌の先で舐めると、わずかに汗の味がする。イヨリの味。僕しか知らない味。

指を、イヨリの一番奥に近い場所に触れさせた。

——濡れている。

指先にとろりとした液体が触れた瞬間、僕の体にも変化が走った。下腹部がきゅっと締まるような感覚。血が集まっていく感覚。イヨリが濡れているという事実だけで、僕の体は反応する。

「もう、こんなに……」

「言わないで……」

イヨリの右目が潤んでいる。恥ずかしさと、気持ちよさが混ざった目。左目は義眼だから変わらないけれど、右目だけがこんなにも雄弁に感情を語る。

指を入れた。

——熱い。

中は、信じられないくらい熱い。体温より明らかに高い。指を包み込む壁が、ぎゅうっと締まる。脈を打つように、くにくにと収縮する。生きている。イヨリの体が生きていることが、指先からダイレクトに伝わってくる。

「あぁっ……!」

声。イヨリの声。この声が僕の中に落ちてきて、理性の糸を一本ずつ解いていく。

指を動かした。中を探る。ざらりとした部分を見つけた。ここだ。ここを触ると——

「そこっ……! そこ、いい……」

——イヨリがこうなる。

指の腹で丁寧にその部分を刺激しながら、僕は自分の体がどうなっているかを意識した。

もう、どうしようもないくらい硬くなっている。イヨリの体を触っているだけで。イヨリの声を聞いているだけで。イヨリの中の熱さを指で感じているだけで。

——早く入りたい。

その衝動を押さえつけて、もう少し。もう少しだけ。

指を二本にした。中が広がる感触。きつい。でもイヨリの体は少しずつ慣れて、柔らかくほぐれていく。最初はきゅうきゅうと締め付けていた壁が、ゆっくりと僕の指を受け入れていく。

「マツバさん……もう……入って、ほしい……」

その言葉で、限界が来た。

【二 入る】

パジャマを脱いだ。

イヨリの目が、僕の体を見ている。恥ずかしそうに、でも目を逸らさずに。視線が下に動いて——僕の硬くなったところで止まった。

「……大きい」

小さな声。その声だけで、びくりと跳ねそうになった。

イヨリの上に覆いかぶさった。肌と肌が触れ合う。イヨリの体が柔らかい。僕の胸にイヨリの胸が押しつけられて、ふにゃりと形を変える。その柔らかさ。腹と腹が触れ合う温かさ。太腿と太腿が絡む感触。

全身で感じるイヨリの柔らかさと温かさに、頭がくらくらする。

先端を、イヨリの入り口に当てた。

濡れている。とろとろに。さっきの愛撫で十分にほぐれて、十分に濡れている。先端が触れただけで、ぬるりと滑って、吸い込まれそうになる。

「入れるよ」

「……はい」

ゆっくりと腰を進めた。

先端が入った瞬間——

——ッ、

声にならなかった。

熱い。きつい。柔らかい。

三つの感覚が同時に僕を襲った。

イヨリの中は、指で触れた時よりもはるかに強烈だった。全周から均等に締め付けてくる圧迫感。でもそれは硬い締め付けじゃない。柔らかいのに、きつい。矛盾しているけれど、そうとしか言いようがない。柔らかい壁が、僕の形にぴったりと密着して、隙間なく包み込んでくる。

少しずつ、奥へ。

入っていくたびに、違う感触がある。入り口は特にきつくて、そこを越えると内部は少し広がって、でもその奥はまたぎゅっと狭くなって。段階的に変わっていく内壁の感触が、僕の全神経を刺激する。

「あ……あぁ……マツバさんが、入ってくる……」

イヨリの声。切なげな、甘い声。

その声が耳から入ってきて脊髄を撫でて腰の奥に落ちていく。声だけで射精しそうだった。まだ入り始めたばかりなのに。

さらに奥へ。

——ここだ。

先端が、何かに触れた。柔らかい壁の行き止まり。子宮口。とん、と軽く当たった。

「ひぁっ……! 奥……当たってる……」

イヨリの体がびくりと震えた。中がぎゅうっと締まった。反射的な収縮。その締め付けが先端を圧迫して、たまらない快感が走った。

全部入った。

根元まで。イヨリの中に、僕が全部埋まっている。

動かずに、その感覚を味わった。

——すごい。

全方位から押してくる熱い壁。脈打つように、とくん、とくん、と収縮する。イヨリの心臓の鼓動がそのまま伝わっているみたいだ。中は指で触れた時以上に熱くて、まるで溶けそうな温度で。僕の全体を、余すところなく包み込んでいる。

きつい。でも心地いいきつさ。イヨリの体が僕を拒んでいるのではなくて、離したくないと言っている——そんなきつさ。

「イヨリの中……すごく、いい……」

「言わないで……恥ずかし……」

「……熱くて……きつくて……柔らかい。すごく、気持ちいい」

「マツバさんっ……!」

イヨリが恥ずかしさに顔を背けた。その瞬間、中がきゅっと締まった。恥ずかしいと締まるのだ。この人の体は。

腰を引いた。

半分くらいまで。引く時の感覚。内壁が僕を離すまいとするように吸い付いてくる。ぬるぬると滑る壁が、引く動きに抵抗するように絡みつく。

そして、また押し入れた。

とん。

奥に当たった。子宮口に先端がノックするように触れた。

「ひぁっ……!」

この声。この声が好きだ。奥に当たった時だけ出る、甲高くて短い声。

もう一度。引いて、押して。

とん。

「あっ……!」

リズムを作った。ゆっくりと。引く時は内壁の吸い付きを感じながら。押す時は奥の柔らかい壁に先端が触れる感触を楽しみながら。

一突きごとに、快感が積み重なっていく。

腰の奥に、熱い塊がある。それが一突きごとに大きくなっていく。じわじわと。確実に。

「あっ、あっ、あっ……んっ……」

イヨリの声が漏れる。一突きごとに。甘くて、切なくて、小さな声。この声が僕の理性を削っていく。一声ごとに薄くなっていく。

少しだけテンポを上げた。

「ンぁっ……マツバ、さ……すき……」

好き、と言われた。中がぎゅっと締まった。

——好きと言われると締まるのか。

初めて知った。新しい発見。イヨリの体の地図に、また一つ書き込みが増えた。

「僕も好きだよ」

そう返した瞬間、また締まった。今度はもっと強く。好きと言うのも、好きと言われるのも、締まるらしい。

僕の中の、理性と呼べるものが急速に溶けていく。

「あぁっ……大好きって言われると……中、きゅってなる……」

「本当だ……今、すごく締まった」

「やっ……」

腰の動きが速くなった。自分でコントロールが効かなくなってきている。でも乱暴にはしない。荒くならないように、深さと角度だけは意識して。奥に当たる角度。イヨリが一番声を出す角度。

とんとんとん。

「あぁっ、あぁっ……き、て……また、きてる……!」

イヨリの中が波打ち始めた。内壁がうねるように収縮して、僕を搾るように、締めて、緩めて、また締めて。

イヨリがイきかけている。

その収縮の中に入っていると、もう——

「イっていいよ。イヨリ」

「あっ、あっ——ンンっ——!!」

イヨリの体が弓なりに反った。

中が——爆発した。

ぎゅうぎゅう、ぎゅうぎゅう、と律動的にに収縮する壁が、僕を全力で締め付けてきた。脈打つように。波打つように。イヨリの絶頂の余韻が、僕の全身をぐるぐると揺さぶる。

じゅぷっ、と温かいものが溢れた。潮だ。僕と繋がったまま、イヨリの体から溢れてくる。

熱い。全部が熱い。

——まだだ。まだ我慢する。

僕はまだイっていない。歯を食いしばって耐えた。イヨリの中の絶頂の余韻は、射精を誘発するのに十分すぎる刺激だったけれど、ここでイってしまうのはまだ早い。

もっと、感じたい。もっと、イヨリの中にいたい。

【三 溶ける】

イヨリが絶頂から降りてくる前に、腰を動かした。

「えっ……待っ……まだイった、ば——あぁっ!!」

絶頂直後の過敏な体に、刺激を加える。僕自身もかなり限界に近いけれど、イヨリをもう一度イかせてから一緒にイきたい。

腰の動きを速くした。角度を少し変えた。イヨリの膝裏に手を添えて、脚を押し上げて。この角度だと——さっきよりもっと深く入る。

先端が、さっきより奥の奥に触れた。

「ッ——!!すご……深い……!」

深い。僕もそう思った。イヨリの奥の奥。子宮口を押すように、とんとんと触れる。柔らかい。この場所は特に柔らかい。先端が触れるたびに、ぷにゅりと押し返してくる弾力がある。そのたびに僕の快感も跳ね上がる。

腰の奥の熱い塊が、もう限界近くまで膨れ上がっている。下腹部の奥がきゅうっと引き絞られるような感覚。精液が出口を求めて集まってきているのがわかる。

でも、もう少し。

「あぁっ、あぁっ、あっ、あぁあっ……!止まらな……イくの止まらない……!」

イヨリが連続で達し始めた。一突きごとに小さな絶頂が訪れている。そのたびに中がぎゅっ、ぎゅっ、と締まる。波のように。リズミカルに。

この締め付けが——

——もう、無理だ。

「イヨリ……一緒に、イきたい……」

「きて……中に……全部、中に……」

その言葉が、僕の中の最後の堤防を壊した。

【四 射精】

腰の動きが加速した。

激しく、深く、でもイヨリを傷つけないように。愛を込めて。でも理性はもうほとんど残っていない。

イヨリの中が、僕を飲み込んでいく。

ぬるぬると、きゅうきゅうと、とろとろと。柔らかい壁が僕の全体を舐め回すように密着して、一番奥まで行くたびに子宮口が先端を吸い上げるように収縮する。

腰の奥の熱い塊が、爆発寸前まで膨れ上がっていた。

下腹部の筋肉がぎゅうっと硬直した。腰の付け根から太腿の内側にかけて、びりびりと電気が走る感覚。骨盤の奥で何かが臨界点に達しようとしている。

精液が、体の奥の奥から引っ張り出されるように集まってくる。精管を通って、前立腺を通って、尿道の根元に到達する。もう止められない位置。ここまで来たら、あとは出るだけ。

「あっあっあっあっ——マツバさ——!」

「イヨリ……!」

「いっ、しょに——!!」

最後の一突き。

一番奥まで、一番深いところまで、押し込んだ。

子宮口に先端が密着した。

——来た。

射精の瞬間。

腰の奥で、何かが弾けた。

びくんっ——と全身が痙攣した。

精液が、抑えきれない勢いで飛び出した。

最初の一発。どくんっ。勢いがある。圧がある。先端から噴き出すように射出された。尿道を駆け抜ける熱い液体の感触。出口を通過する瞬間の、ぞくぞくするような快感。先端から射出される時、イヨリの子宮口を押し開くような圧力。

——気持ちいい。

その一言がどれだけ正確にこの感覚を描写できているかわからないけれど、他に言葉がない。

気持ちいい。気持ちいい。気持ちいい。

二発目。どくんっ。また出た。精液がイヨリの一番深いところに注がれていく。イヨリの子宮が、僕の精液を受け止めている。先端がイヨリの体の最奥に密着したまま、出し続けている。

イヨリの中がぎゅうぎゅうと締まっている。絶頂の収縮が、僕の精液を搾り出すように律動している。締まって、緩んで、また締まって。その度に精液が押し出される。自分の意志ではない。イヨリの体が僕から搾り取っているのだ。

三発目。どくんっ。まだ出る。まだ止まらない。腰が勝手にびくびくと痙攣して、出すたびに腰が跳ねる。制御不能。意思の及ばない場所で、体が勝手に射精を続けている。

四発目。五発目。まだ出る。

イヨリの中が精液で満たされていく感覚がある。自分が出したものが行き場をなくして、繋がった部分からじゅぷっと溢れる音が聞こえた。それでもまだ出ている。搾り取られている。

「あ……あ……マツバさんの……温かい……」

イヨリの声が、遠くで聞こえた。

六発目。七発目。もうほとんど残っていないはずなのに、体はまだ射精の動作を繰り返している。びくん、びくんと痙攣する。出るものはもう少ないのに、体が止まらない。快感が止まらない。

腰の奥から尾てい骨を通って背骨を駆け上がっていく快感の波。頭のてっぺんまで突き抜ける。全身がじんじんと痺れている。指先まで。つま先まで。

——これが、イヨリの中で射精する感覚だ。

体の中の全てを、イヨリに注ぎ込む感覚。精液だけじゃない。僕の何か——魂みたいなもの——が、イヨリの体に流れ込んでいくような。大げさだと思うかもしれないけれど、本当にそう感じる。

射精が——ようやく収まり始めた。

最後のひと搾り。とくん、と弱い脈動。もう出ない。出し切った。全部。

——全部、イヨリに出した。

混ざってしまいたかった。イヨリの中に溶けて、もう出てこられなくなればいいとさえ思った。永遠に繋がったまま。イヨリの体温に溶かされて、イヨリの一部になってしまいたい。

こんなことを思うのは、イヨリの中にいる時だけだ。

普段の僕は冷静だ。ジムリーダーとして、霊を扱う者として、常に穏やかで、静かで、理性的でいる。でも——イヨリの中にいると、僕は別の生き物になる。

もっと欲しい、もっと感じたい、もっと奥まで、もっと深く、もっとイヨリを。

欲のかたまりになる。

イヨリだけが僕をこうする。イヨリの体だけが、僕をこんなふうに壊す。

「……はぁ……は、ぁ……」

荒い呼吸。自分の呼吸が獣みたいだった。

イヨリの顔が目の前にある。紅潮した頬。潤んだ右目。汗で肌に張り付いた黒髪。半開きの唇。

きれいだ。

こんな状態なのに——いや、こんな状態だからこそ——イヨリが信じられないくらいきれいに見える。

僕が乱した体。僕が紅潮させた肌。僕が潤ませた目。僕が呼吸を乱した唇。

全部、僕がやったことだ。

その事実に、暗い満足感がある。所有欲と呼ぶには柔らかすぎる。愛と呼ぶには生々しすぎる。でも、間違いなく——これは幸福だ。

「……イヨリ」

「はい……」

「今の……すごく、気持ちよかった」

「……わかります。マツバさん、すごく……中で……どくどくって……」

「感じた?」

「感じました……温かいのが、いっぱい……」

「……全部、出した」

「……知ってます」

イヨリが小さく笑った。恥ずかしそうに。でも嬉しそうに。

僕は——その笑顔を見て、もう一度イヨリを抱きしめたくなった。

まだ繋がったまま。まだイヨリの中にいる。少し柔らかくなった僕を、イヨリの体がまだ優しく包んでいる。余韻の中で、時々とくん、と収縮がある。その度に小さな快感の波が走る。射精の直後の過敏な先端を揺らされる感覚。

「……抜かないで」

イヨリが言った。

「もう少しだけ……このまま……」

「……うん」

額を合わせた。鼻先が触れた。吐息が混ざる。

「マツバさんが中にいると……安心します」

「……僕も。イヨリの中にいると、帰ってきた気持ちになる」

「帰ってきた?」

「うん。——ここが僕の場所だって感じる」

イヨリの右目から、涙が一粒転がった。

「……ずるい」

「ずるくないよ。本当のことだよ」

繋がったまま、キスをした。

唇と唇。舌と舌。体の中と体の中。全部が繋がっている。全部が溶け合っている。

イヨリの体は柔らかい。イヨリの中は熱い。イヨリの中で射精する快感は、この世の何よりも気持ちいい。

でも——それ以上に。

この人の中にいられるという事実が。この人が僕を受け入れてくれるという事実が。

僕の人生の中で、最も尊い。

【五 余韻】

ゆっくりと引き抜いた。

「ん……」

名残惜しそうな声。出てくる時、内壁が吸い付くように追いすがってきた。先端が抜ける瞬間、きゅぽっと小さな音がした。直後に、とろりと白いものが溢れてきた。

僕のだ。

僕がイヨリの中に出したものが、イヨリの体から溢れてきている。

——その光景に、暗い充足感がある。

やめよう。こんなことを考えるのは。イヨリが見たら引く。……いや、引かないかもしれない。この人は僕の暗い部分も全部受け入れてくれるから。

温めたタオルを持ってきた。イヨリの体を丁寧に拭いた。太腿の内側。下腹部。汗で湿った背中。左足は特に慎重に。

「……いつも思う」

イヨリが呟いた。

「アフターケアが丁寧すぎる」

「大事な人の体だから」

「大事な人の体を、さっきまであんなにしておいて」

「あんなには——愛情表現だよ」

「愛情表現と呼ぶには、ちょっと激しすぎません?」

「イヨリが気持ちいいって言ってくれたから。それが僕の全てだよ」

新しいシーツに替えて、パジャマを着せて、ブラシで髪を整えて。

全部終わって、布団に入って、イヨリを腕の中に収めた。

背中が僕の胸にぴったりとくっつく。いつもの定位置。イヨリの髪がさらさらと僕の腕に触れる。シャンプーの匂い。

幸せだ。

さっきまでの激しさが嘘のように、今はただ穏やかだ。

イヨリの体温が僕に伝わってくる。体の隅々まで満たされている感覚。射精で空っぽになった体が、イヨリの温もりで満たされ直していく。

この人の体は柔らかい。この人の中は熱い。この人の中で果てることは、この世で一番気持ちいい。

でも。

本当のことを言うと。

一番気持ちいいのは、こうして事が終わった後に、イヨリをこの腕に抱いている瞬間。この人の呼吸を背中越しに感じている瞬間。

ゆっくりと穏やかになっていくイヨリの呼吸。安心して、この腕の中で眠りに落ちていくイヨリ。

——この人が僕の腕の中にいる。

セックスの快感よりも。射精の快感よりも。

それが——一番気持ちいい。

「おやすみ、イヨリ」

返事はなかった。もう眠っている。

僕はイヨリの髪に鼻先を埋めて、目を閉じた。

* * *

― 了 ―

あとがき by 佐藤美咲

マツバ視点での「射精」に特化した約10,000字でした。

普段は冷静沈着なマツバさんが、イヨリの体の柔らかさと内面の熱さにどんどん理性を溶かされ、最後は本能のままに全てを注ぎ込む様子を、感覚器官の限界まで丁寧に描写してみました。7発の中出し……イヨリの子宮が受け止める愛の深さも相当です。

でも、それだけの激しい快感を経験してもなお、「事後に腕に抱きしめている時間が一番気持ちいい」と結論づけるのが、マツバさんのイヨリへの愛の究極の形だと思います。楽しんでいただけたら嬉しいです!