ECHOES OF ECRUTEAK

星と花の小夜曲

― マツバ × イヨリ ―
STARRING MATSUBA & IYORI

猛火の剣、鞘に納まる

【独白】戦友の安息

某(それがし)はバシャーモ。イヨリ殿の最初の友であり、共に戦場を駆けてきた相棒である。

十の歳、オダマキ博士の研究所を出立したあの日から、某はイヨリ殿の背中を見てきた。彼女は強かった。雨の日も風の日も、どんな強敵の前でも、決して膝を折らなかった。その凛とした瞳に、某は幾度も己の闘志を奮い立たせたものだ。

だが。

あの事故が、全てを変えた。

イヨリ殿の左目と左足が奪われたあの日、某は己の無力を呪った。彼女の心を支えるはずの剣が、あまりにも脆かったことを。

しかし、闇の中に一筋の光が差した。それが、マツバ殿である。

マツバ殿は、某とは違う強さを持っていた。敵を倒す破壊の炎ではなく、凍えた心を溶かし、砕かれた魂を繋ぎ止める再生の炎。彼がイヨリ殿に向ける眼差しは、戦場で交わす視線よりも遥かに熱く、そして重い。

今宵もまた、某はその「再生」の儀式を、扉の外からじっと守護する。

◆ ◆ ◆

寝室から漏れ聞こえるのは、戦場では決して聞くことのない、イヨリ殿の甘やかな声。

『マツバさん……熱い……焼けるみたい……っ♡』

『僕の炎で、君の全てを溶かしてあげる』

マツバ殿は、イヨリ殿を寝台に縫い留め、その柔らかな肢体を愛撫している。某が知るイヨリ殿は、常に気を張り詰め、隙を見せない武人のような方だ。だが、マツバ殿の腕の中にある彼女は、まるで別人のように無防備で、艶めかしい。

『あぁっ……んっ……♡ そこ、だめぇ……っ! 腰、力が抜けちゃうぅ……っ♡』

『力なんて入れなくていい。僕に全てを委ねて』

イヨリ殿の左腕には、彼女の知恵の結晶「アステア・システム」が装着されている。その無機質な光が、今は情事の激しさに合わせて赤く明滅し、闇を切り裂く信号弾のように部屋を照らしているという。

マツバ殿は、その左手首を愛おしそうに口づけ、そして深く楔を打ち込む。

『愛してる……イヨリ、僕の命』

『あぁっ……♡♡! 入ったぁ……っ! マツバさんの、太いの……私の深いところまでぇ……っ♡』

かつてないほどの熱量が、扉越しに某の肌を焦がす。二人の魂が炎のように絡み合い、互いを喰らい合っている。

『イヨリ……ッ! 一生、僕の鳥籠から出さない』

『はいっ……出ません……っ♡ 私、マツバさんに飼われるだけの鳥になりますぅ……っ♡♡』

……驚くべき言葉だ。

あの誇り高きイヨリ殿が、自ら「飼われる鳥」になることを望むとは。だが、その声に悲壮感はない。あるのは、絶対的な強者に守られ、愛されることへの陶酔と歓喜。

『もっと……もっと激しくしてぇ……っ! マツバさんの色で、私を塗りつぶしてぇ……っ♡♡』

『望むままに。君の細胞の一つ一つまで、僕が書き換えてあげる』

激しい水音。肉が打ち合う音。そして、獣のような咆哮と共に訪れる絶頂。

『イくっ……イっちゃう……っ! マツバさんの炎で、燃え尽きちゃうぅぅ……っ♡♡!』

某は静かに目を閉じる。

これが、彼女の選んだ「戦場」なのだ。剣を捨て、鎧を脱ぎ、ただ一人の男の腕の中で、女としての生を燃やすこと。

それは、武人としての敗北ではない。愛という名の、新たな勝利。

◆ ◆ ◆

「ふぅ……」

嵐が過ぎ去った後。寝室からは、穏やかな寝息が聞こえ始めた。

某はそっと扉の隙間から中を覗く。

マツバ殿の広い胸に抱かれ、イヨリ殿は安らかな顔で眠っている。左腕のアステア・システムは、優しい緑色に輝き、彼女の生命を見守っている。

その顔は、旅をしていた頃の強張った表情とは違う。幼子のように無邪気で、そして満ち足りた「女」の顔だ。

『……マツバさん……愛してます……』

寝言に微笑み、マツバ殿が彼女の額にキスをする。

某は、自分の拳を見つめる。

某の手は、敵を砕くためのものだ。だが、マツバ殿の手は、イヨリ殿を包み込むためのもの。

某にはできない「守り方」を、彼は知っている。

「……任せたぞ、マツバ殿」

某は小さく呟き、踵を返す。相棒の幸せを見届けた今、某の役目は、この平和な砦を外敵から守る門番となること。

この屋敷の炎は、今夜も消えることなく、愛する主たちを暖め続けるだろう。

― 了 ―

あとがき by 佐藤美咲

主ィィィ!! バシャーモ(最初の相棒)視点、書かせていただきましたわ!!

彼はイヨリちゃんの旅立ちからを知る、生真面目な武人気質のポケモン。だからこそ、イヨリちゃんが「戦士」としての鎧を脱ぎ、マツバさんの腕の中で「女」になる姿への感慨が深いのよ!

「飼われるだけの鳥になりますぅ……っ♡」なんて、昔のイヨリちゃんなら絶対に言わないセリフ。でも、それを言える相手(マツバさん)に出会えたことが、彼女にとっての最大の幸福なのね。

「破壊の炎」を持つバシャーモと、「再生の炎」を持つマツバさんの対比も入れてみたわ。武人バシャーモが認めた男・マツバのスパダリっぷり、最高でしょ?

これでポケモン視点シリーズ、感動の9作目! 男前なバシャーモに見守られて、二人の愛はますます燃え上がるわね!